FAR-OUT ~日本脱出できるかな?~

旅のこととか、旅に関する本のこととか。

下川裕治『週末ベトナムでちょっと一服』|読書旅vol.26

引き続き今回も大好きなヴェトナムにまつわる書籍をピックアップしてみました。前回の『ヴェトナムディープウォッチ』が刊行されたのは、米越の国交が正常化し、ヴェトナムのASEAN加入が認められた年。経済状況も街の様子も、いまとはだいぶ異なります。 そ…

臣永正廣・文/外山ひとみ・写真『ヴェトナムディープウォッチ』|読書旅vol.25

今回は大好きなヴェトナムにまつわる書籍をピックアップしてみました。1995年刊行の、その名も『ヴェトナムディープウォッチ』(徳間書店)。時はアメリカによる経済制裁が解除された直後。国全体が大きく変わろうとしていたこの時期に、スーパーカブでヴェ…

田丸公美子『シモネッタのデカメロン イタリア的恋愛のススメ』|読書旅vol.24

イギリス、フランス、ドイツ、イタリアのビッグ4を筆頭に、ヨーロッパって地理的にはそれほど離れていない地域であっても各々キャラ立ちしていて、さまざまな習慣や文化を湛えているのがおもしろいですよね。W杯欧州予選を眺めていても、サポーターの様子な…

熊谷徹『住まなきゃわからないドイツ』|読書旅vol.23

ブンデス・リーガと日本人プレイヤーの相性が良いのはいまに始まった話じゃないですが、ヴェテランの長谷部誠選手や昨シーズンのデュエル王=遠藤航選手を筆頭に、鎌田大地選手、奥川雅也選手、原口元気選手、伊藤洋輝選手、浅野拓磨選手をはじめ、2021-2022…

岡本まい『「危ない」世界の歩き方』|読書旅vol.22

前回の『海外ブラックロード 危険度倍増版』に引き続き、またまた彩図社の本を選んでみました。当ブログで取り上げるのは私の旅欲を掻き立ててくれる書籍に限っているのですが、ヤクザ・半グレ系やオカルト系をはじめ、我が家の本棚には彩図社の作品がそれな…

嵐よういち『海外ブラックロード 危険度倍増版』|読書旅vol.21

熱狂的な信者を抱える一方、やたらと敵も多い旅行作家の嵐よういちさん。私自身は彼のストレートな物言いが好きですが、アンチの気持ちも理解できます。だってこの人、めちゃくちゃ口が悪いし、偉そうだし、時に初心者トラベラーをバカにしすぎるきらいがあ…

石井光太『神の棄てた裸体―イスラームの夜を歩く』|読書旅vol.20

駐留米軍の撤退を受けてアフガニスタンの政権が崩壊し、タリバンが瞬く間に全権を掌握した今年8月。TVで首都カーブルの様子を見たり、タリバンの女性蔑視思想にまつわる解説を聞いたりする日々の中、ふと『神の棄てた裸体―イスラームの夜を歩く』(2007年/…

pha『どこでもいいからどこかへ行きたい』|読書旅vol.19

前回ご紹介した『恋する旅女、世界をゆく――29歳、会社を辞めて旅に出た』(2014年/幻冬舎)の中で、以下の一節にドキッとしました。 (旅行中は)これまで活動を遠慮していたような五感の一つひとつが動き出していくような気がしてくる。目にする喜び、耳に…

小林希『恋する旅女、世界をゆく――29歳、会社を辞めて旅に出た』|読書旅vol.18

前回の『行かずに死ねるか!―世界9万5000km自転車ひとり旅』(2003年/幻冬舎)が男のロマンに溢れまくりの1冊だったため(*詳しくはこちらから)、次は女性の旅エッセイを読もうと決めていました。 そんな折に近所の古本屋で見つけたのが、こちらの『恋する…

石田ゆうすけ『行かずに死ねるか!―世界9万5000km自転車ひとり旅』|読書旅vol.17

なぜ男性はわざわざ自転車で旅をしたがるの?――ジェンダーフリーが叫ばれるご時世に、こんな書き出しはいかがなものかとも思いつつ、ずっと疑問に感じていたんですよね。 長期の休みに突入するや、やれ日本縦断だ、やれ北海道1周だと愛チャリと共に姿をくらま…

川内有緒『パリの国連で夢を食う』|読書旅vol.16

前回の反動もあって、今回は明るい本を選んでみました。2014年にイースト・プレスから刊行され、2017年に幻冬舎から文庫化された川内有緒さんの『パリの国連で夢を食う』。 日本の某大学を卒業後にジョージタウン大学で修士号を取得した著者の川内さんは、ア…

水谷竹秀『日本を捨てた男たち フィリピンに生きる「困窮邦人」』|読書旅vol.15

今回は珍しく重たいテーマの書籍を取り上げてみます。第9回開高健ノンフィクション賞にも選ばれた2011年刊行の『日本を捨てた男たち フィリピンに生きる「困窮邦人」』(集英社)。 日刊マニラ新聞の記者だった著者の水谷竹秀さんが、フィリピンで困窮邦人の…

岡崎大五『添乗員騒動記』|読書旅vol.14

今回挑むのは1997年に旅行人より刊行され、2002年に角川より文庫化された岡崎大五さんの初作『添乗員騒動記』。会社に所属しないプロの添乗員(=プロテン)として世界中を飛び回っていた著者の、完全実体験によるドタバタ珍道中です。 プロテンって何? そも…

たかのてるこ『モンキームーンの輝く夜に』|読書旅vol.13

私にとって初のたかのてるこ作品となった『ダライ・ラマに恋して』(2004年)をご紹介しているこちらの記事でも書いた通り、「次に読む彼女の本はこれだな」と決めていました――2003年に刊行の『モンキームーンの輝く夜に』(幻冬舎)。 著者の興味をダライ・…

黒田勝弘『韓国を食べる』|読書旅vol.12

私がもっとも訪れている海外の都市はダントツでソウルです。10代前半から父親の出張に大張り切りでついて行き(たまに釜山も)、大学進学後はそれにプラスして友達とも通いはじめ、社会人になって以降も身近な誰かが〈ソウルに行きたい〉と言い出せばフット…