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【カンチャナブリー観光】世界遺産登録をめざすクウェー川鉄橋と、そのすぐにそびえるド派手な中国寺院

今回からしばらくの間、カンチャナブリーの観光スポットを取り上げていきます。まずはクウェー川鉄橋と、そのすぐ近くに建つ中華系の大乗仏教寺院について。

 

タイ人にも大人気の映えスポット

1943年に竣工した全長約330mのクウェー川鉄橋は、タイ国政府観光庁のホームページでも〈カンチャナブリーを訪れたならはずせない名所〉と書かれているほど超定番の観光名所です。

橋の上には線路が敷かれていて、毎日上下線2本ずつ列車が通過。何が凄いって、現役の線路であるにもかかわらず、対岸まで自由に歩けるんですよ。

安全性と運行時間をストイックに守り抜く日本では、関係者以外の人間が線路に立ち入るなんてもってのほか。一応、橋の途中にいくつもの待避所が用意されているとはいえ、お国柄の違いを見せつけられました。

クウェー川鉄橋はSNS時代に再脚光を浴びていて、週末になると大型観光バスもバンバン乗りつけ、時には胡坐をかいたり、寝そべったりして、皆さん競うように映え写真を撮りまくっています。

アクセス方法は、カンチャナブリーのバスターミナルから20THB(約80円)でソンテウが出ているほか、トゥクトゥクでも80~100THB(約320~400円)程度で連れて行ってくれます。

また、バンコクトンブリー駅から7時45分発の電車に乗って、リヴァー・クウェー・ブリッジ駅にピンポイントで下車するのもあり。10時42分に現地へ着き、周辺をブラブラして、14時38分発の下り列車に乗るコースです(バンコクからカンチャナブリーへの交通手段はこちらのページをご覧ください)。

 

反戦の象徴として

いまでこそセルフィー大会の様相を呈し、平和以外の何ものでもない光景が広がるクウェー川鉄橋ですが、ここはアカデミー賞を獲得した戦争映画『戦場にかける橋』(1957年公開)の舞台にもなっている場所。

クウェー川鉄橋を通る泰緬鉄道は、旧日本軍の指揮のもと、連合軍捕虜や東南アジア各国から集められた労働者によって建設。虐待過酷な労働環境が原因で多くの人が命を落とし、英語圏ではDeath Railwayと呼ばれています。

ちなみに、1944~45年にかけて米軍の爆撃を受けた鉄橋は、戦後賠償の一環で日本橋梁や現・横河ブリッジが修繕を担当。アーチの一部(円形になっている部分)は現在も開通当時のオリジナルのままらしいです。

このクウェー川鉄橋も含め、泰緬鉄道を世界遺産に登録しようとする動きがタイで進行中。タイ政府は日本との関係を考慮し、「建設時の残虐性は強調しない」とコメントしています。

これを踏まえて私が感じたのは、「心遣いはありがたいけど、事実は事実なんだし、しっかりアピールすべきじゃないの?」ということ。

日本の顔色を窺うよりも、戦争の悲惨さを包み隠さず後世に伝えてもらったほうが、よっぽど意味がある……とか考えていました。

 

景観・眺望トラブルが勃発!?

そんなわけで、改めて平和への願いが込み上げてきたのも束の間、ド派手な宗教施設に目を奪われてしまった私。あれはいったい何なんだ!? せっかくなので訪ねてみました。

お寺の名前は北碧觀音福壽宮。18mの観音像やら、それ以上の高さを誇る龍が巻き付いた巨大柱やら、カラフルな蓮の花のオブジェやら、とにかくゴージャスです。

アミューズメント・パーク的な趣があって、呑気に眺めているぶんには楽しく、写真スポットも盛りだくさん。タイ式のお寺とも、日本式のお寺とも、まったく雰囲気が異なります。

……にしても、かなり気合いを入れて装飾しているお寺なのに、しかもカンチャナブリー市内屈指の観光名所と隣接しているのに、不気味なくらい参拝客がいません。境内ですれ違ったのは欧米系の3人グループ1組のみ。明らかに変です。

調べてみると、北碧觀音福壽宮を巡っては、2009年の建立当初より景観を損ねるとして地域住民や環境団体が猛烈な抗議運動を起こしていました。なるほど、確かに景観はダイナミックに損なわれています。

もちろん、目と鼻の先に真新しい宗教施設が建ったとて、クウェー川鉄橋や泰緬鉄道の歴史的価値が薄れるとは思いませんし、時代の移ろいと共に街の様子が変わっていくのも当然っちゃ当然。

一方で、世界遺産への登録準備を進めてきた方々にしてみたら、「よくもこんな目と鼻の先に!!」と腹が立つ気持ちも物凄く理解でき、何だかな~とモヤモヤ。難しい問題です。

モヤモヤついでに、どうやってこの記事を締め括ろうか、いま凄くモヤモヤしている旨も併せて告白しておきます。景観問題に触れてみたはいいものの、帰着点が見つかりません。

粘ったところでカッコ良いオチがつけられるとも思えないため、今回はここらへんでお開きとさせていただきます。スミマセン。次回はもう少しがんばります。

 

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