引き続きカンチャナブリーの洞窟寺院について。今回取り上げるのは、前回紹介したWat Tham Phuwa(ワット・タム・プワー/วัดถ้ำพุหว้า)を出て、市街地方面へ帰りしなに立ち寄れるWat Tham Khao Poon(ワット・タム・カオプーン/วัดถ้ำเขาปูน)です。
戦争の痕跡
Wat Tham Khao Poonはカンチャナブリー駅を起点に5km少々、最寄りのカオプーン駅からは1km弱のところに位置しています(※実際に行かれる際は、カオプーン駅で下車せず、市内中心部でバイクを借りるかトゥクトゥクをチャーターして向かうのがオススメ)。
カオプーン駅の周辺には、旧日本軍が泰緬鉄道を敷く際の難所となったチョンカイの切り通しもあります。
険しい岩山を強引に削って鉄道を通したチョンカイの切り通しは、列車が岩スレスレを通過することから、いまではナムトック線屈指の人気観光名所に。
ただし、すべて人の手で掘削するという無茶な建設工程が祟り、この地で多くの方(連合国軍捕虜や東南アジア各国より集められた労働者)が命を落とした事実も忘れてはいけません。その数は1000人とも、1500人とも……。
そういう立地もあって、第二次世界大戦中は日本軍がWat Tham Khao Poonを主に医療品をストックする倉庫として使用していたとか。洞窟を抜けた先に鉄道建設時の写真も展示されています。
したがって、こと日本人である私たちはいろいろな想いを巡らせ、過去を反省すべき場所。気が重くなる話ではありつつも、やはりWat Tham Khao Poonをピックアップするにあたり、まずはこのへんの背景に触れておきました。
9つの部屋で区切られた洞窟
Wat Tham Khao Poonの建立時期は不明。現存するもっとも古い記録では、1870年にラーマ5世が訪れ、このお寺の涅槃仏に手を合わせたとされています。
入口で30THB(約120円)の拝観料を払い、さっそく内部へ。受付や洞窟までの道に中高生くらいのイマドキな若者が複数人たむろしていて、凄く不思議でした。
どうやらタイ人の参拝客にはこの子たちが1グループにつき1人ずつ案内役でつくらしいです。白状すると、「カツアゲされるんじゃないか」「何か売りつけられるんだろうか」と内心ビクビク。疑ってゴメンナサイ。
洞窟に入って真っ先に見えるのは黄金に輝く涅槃仏。大型の扇風機と何脚かのパイプ椅子が置かれ、涼みながらじっくり見学できるようになっています。
洞窟内は9つの部屋で構成。涅槃仏を安置した第1の部屋が9つの中でもっとも大きく、続いて登場する第2の部屋には女神の像などが無数に並べられています。
さらにその先も、ガジュマルの根が張った空間、かつてワニの形をした鍾乳石が置かれていたためワニ部屋と呼ばれている空間(※ワニ石は盗まれてしまい、現在は空っぽです)、ゾウの頭の形をした鍾乳石が見られる空間(※私の心が汚れているせいか、どれがゾウの頭かわかりませんでした)などなど、次々と小部屋が出現。
タイ人でなくともタイ語がそれなりに理解できれば、おそらく外で待機している若者たちが各部屋の詳細を教えてくれるはず。部屋ごとに世界観が異なりすぎて、私も普通に説明を受けたかったです(※タイ語わからないけど……)。
レイヴ会場!?
先述した通りWat Tham Khao Poonはとりわけ日本人がはしゃいでOKな場所ではありません。でも、要所でうっかり笑いそうになるトラップが仕込まれています。
何たって電飾がめちゃくちゃサイケデリックなんですよ。しかも、順路を示す矢印はブラックライトで蛍光カラーに光る仕様。
結果、洞窟のなかはギャル受け必至の映えスポットだらけです。なぜレイヴ会場みたいなデコレーションにしたのでしょうか。ガイド役の若者たちがよかれと思って勝手にやったか?
ついでに、奥へ行くほど通路は狭くなり、こちらの冒険心を煽ってきます。いかん、そんなつもりはまったくないのに……。なお、通路の狭さをマイナスに捉えると、閉所恐怖症の方には厳しい環境かと思われます。
人工的な極彩色のライトで照らされてはいるものの、太陽の光は完全に遮断され、空気の流れがあまりよろしくないです。加えて、全体的にカビの臭いが酷く、コウモリともチラホラ出くわします。
そう言えば、Googleのレヴュー欄にて「霊感の強い人は、悪寒がするかもしれません」と怖いアドヴァイスをされている人もいましたっけ。
抱えている歴史が歴史なだけに、こんな感想をブログに上げるなんて不謹慎極まりないのは承知のうえ、図らずもハイレヴェルな珍スポットと出会い、心踊らされてしまった私。純粋にお参りしたい一心で臨むも、Wat Tham Khao Poonはなかなか手強い寺院でした。
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