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【カンチャナブリー観光】SNS時代を逞しく生きるWat Khao Chong Pattanaram

2023年ラストの投稿です。今回も引き続き舞台はタイのカンチャナブリー。1年の締めに相応しく、自分的に学びの多かったお寺、Wat Khao Chong Pattanaram(ワット・カオチョーン・パタナーラーム/วัดเขาช่องพัฒนาราม)をピックアップしてみました。

 

ド派手な境内と誕生曜日別の守護神

Wat Khao Chong Pattanaramがあるのは、市内中心部からは30km強離れたターマカ地区。公共の交通機関は通っておらず、アクセスするにはレンタル・バイクトゥクトゥクを利用します。

お寺のゲートを潜ってまず目に飛び込んでくるのが、どことなく戦隊シリーズの○○レンジャーっぽい8色の仏様。当然、色分けにはちゃんとした意味があります。

タイでは自分の生まれた曜日を重視し、曜日ごとにシンボルカラーが存在。日本で星座占いや血液型占いがよく見られているのと近いノリで、曜日占いなるものも人気を博しています。

つまり、この8体は各曜日の守護仏。7つではなく8つにあるのは、水曜のみ午前生まれと午後生まれに分れているからです。

ちなみに、曜日占いはタイ・ミャンマーラオスカンボジアで広く親しまれていて、例えばミャンマーの場合は色じゃなく動物で区分け。メコン川流域の国を旅する際は、自分の誕生曜日を知っておくと寺院巡りがより楽しめます。

自分の誕生曜日はこちらのリンク先より簡単に割り出すことが可能。上掲の表に大まかな性格診断をまとめたので、ご興味のある方はぜひチェックしてみてください。周りの人で試したらけっこう当たっていました。

 

多様な神仏像の大博覧会

Wat Khao Chong Pattanaramの観どころは上述した8色の守護仏だけじゃありません。それほど広くない境内には2体の巨大仏像――ゴロンと横たわる涅槃仏と、善跏倚坐の姿勢を取った仏様――がドーンと安置。

坐仏の階段下左右には悪霊たちを一撃で投げ飛ばす強力なパワーを備えたThao Wessuwan(タオ・ウェスワン)が、勇ましくそびえ立っています。

スワンナプーム空港の出国ロビーにも飾られているThao Wessuwanは、災難を遠ざけ、金運やビジネス運を飛躍的に向上させると信じられている神様。お参りしない手はないでしょう。

その他、赤目のラーフ神(※悪神扱いされているヒンドゥー教とは違い、タイにおけるラーフの立ち位置は厄払いや交通安全の神様)、漆黒の十一面観音菩薩、亀に乗った僧侶、3頭身のキュートな誕生仏をはじめ、個性豊かな神仏像がズラリ。

さらに、ところどころで中国の神々のオブジェも確認できました。何でも「互いに敬意を払おう」との意図で、タイ様式の仏教寺院に中国スタイルを織り交ぜたのだとか。隣人をリスペクトする気持ちは私の心にもしっかり刻んでおきたいです。

 

なぜにアイアンマン?

境内のわりと目立つ位置にはアイアンマンの姿も! 別に住職がふざけて置いたわけじゃありません。至って真面目。

いまも仏教と暮らしが密接に繋がっているタイでは、時代の変化に合わせ、人々の興味関心を惹く工夫がお寺サイドでも積極的になされています。

私がパッと思いついた例だと、超人ハルクのセメント像が置かれたバンコクWat Mahabut(ワット・マハーブット/วัดมหาบุศย์  ※詳しくはこちら)。

このへんの事情については、椋橋彩香さんが執筆された『タイの地獄寺』内での、ドラえもん寺ことWat Sam Pasieo(ワット・サンパシウ/วัดสำปะซิว)に関する記述が凄く腑に落ちたため、一部抜粋させていただきました。

東南アジアではよくあることだが、大々的に著作権を無視して「パクる」文化がまかり通っている。もちろんこれは奨励すべきものではない。だが、解説してくれたおじさんはこんなふうに言っていた。「子どもは地獄絵だけだと怖いので、少しでも親しんでもらえるようにドラえもんを描いているんだ。これらをパクりとしてすませてしまえばそれまでだが、こうした意図をもって描かれていることは頭の片隅に置いておきたいなぁと思う。

本稿の主役であるWat Khao Chong Pattanaramが建立されたのは1954年。しかし、間もなく創建70周年を迎えるとは思えないくらい、どこもかしこもピカピカで、現在も改装工事の真っ最中です。

それはすなわち、この寺院が現役バリバリで生き続けている証。世界遺産や国指定の文化遺産に登録され、在りし日の状態を懸命に保全し続けている宗教施設がダメだとは微塵も思いません。

ただ単純にWat Khao Chong Pattanaramの魅力が、そういう荘厳な遺跡保存系とはまったく違うヴェクトル上にあるということ。

そして、実際にアイアンマンと同じポーズをキメながら嬉しそうに記念写真を撮る地元の参拝客を目の当たりにし、私はすっかりこのいまを生きるWat Khao Chong Pattanaramの虜になりました。

 

巧みなSNS戦略

Wat Khao Chong PattanaramのモダンなアプローチはSNSの活用にも見て取れます。ほぼ毎日更新される公式Facebookには、行事案内やら、ボランティアの方に対する感謝の言葉やら、お布施のお願いやらが盛りだくさん。

一応補足すると、お布施のお願いも「ランプ用の灯油を一斗缶単位○○THBで買ってくれるホスト募集!」など、使途が具体的でいやらしさは希薄です。

また、リール投稿ではキラキラに加工した動画をアップ。総じてかなりSNSを使いこなしている印象でした。

信者とのコミュニケーションを大事にし、ファンの心を鷲掴みにしている同寺院のSNS発信。なかでも好反響なのが住職の金言です。日本人の私にもめちゃくちゃ沁みました。

そんなこんなで、今年最後のブログは住職のお言葉で締めさせていただきます。皆様にとって2024年も実りの多い素敵な1年になりますように……。

  • 人生は浮き沈みだらけだ。幸せであれ悲しみであれ、私たちはそれと共に精一杯生きなければならない。
  • 意味のある勝利は簡単に訪れない。なぜなら、価値のあるものを構築するにはいつも時間がかかるから。
  • 真実を受け入れる勇気は問題解決への第一歩。
  • 成功は一晩で起こらない。成功はハードワークを通して起こる。だから、諦めずに行動をしよう。
  • 人の人生にはいくつかの道があるが、どれだけ遠くまで進むかは重要ではない。もっとも大事なのは自分たちが選んだ道に満足しているかどうかだ。
  • 世界がどんなに美しくても残酷でも、私たちはとにかく生きなければならない。世界は常に回っている。 今日、私たちは世界の悪い側面にいるかもしれないが、いつかそれは良い側面に回転するだろう。
  • 過去は変えられない。でも、明日の準備することはできる。より良い自分になろう。なりたい人生を生きよう。
  • 人ではなく夢を追いかける。あなたにはあなたが思っている以上の可能性がある。自分を愛せば、結果はついてくる。
  • 今日がどんなに悪い1日だったとしても笑顔でいよう。そうすれば次の日には良くなっているはずだ。
  • 人生のテストは私たちを破壊するためのものではなく、私たちを成長させるためのものである。

 

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