FAR-OUT ~日本脱出できるかな?~

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【カンチャナブリー観光】千本鳥居や鎌倉大仏もどきの出現で話題沸騰中のWat Khao Sung Chaem Fa

2024年の最初に取り上げるのは、昨年秋に新エリアがオープンして注目度が急上昇しているWat Khao Sung Chaem Fa(ワット・カオスーン・チェームファー/วัดเขาสูงแจ่มฟ้า)です。

 

寺院のロケーション

Wat Khao Sung Chaem Faのロケーションは、Wat Khao Chong Pattanaram(ワット・カオチョーン・パタナーラーム/วัดเขาช่องพัฒนาราม)と同じカンチャナブリーのターマカ地区。同地区のもっとも高い標高に位置しています。

1979年に前身となる僧院が建てられ、2015年に国家認定の仏教施設へと格上げ。誰でも参拝できる寺院に生まれ変わりました。

カンチャナブリー市街地からは30km強と少々離れているものの、バンコクから車で1時間半~2時間程度の距離。バンコクっ子に人気の日帰り旅行先でもあります。

それこそ週末や祝日の昼間は混雑するらしく、広めの駐車場が併設されているにも関わらず、「駐車場が足りない!」といった口コミをチラホラ目にしました。

したがって、平日か、もしくは休みの日だったら午前中の早い時間を狙うのがオススメ。開門時間は午前6時で、閉門時間は午後6時です。

 

人気の理由は?

日帰りできるとはいえ、それなりに遠く、しかも公共交通機関が通っていない場所になぜ人が集まるかと言うと、フォトスポットが盛りだくさんの寺院だから。

タイ人は本当にそこらじゅうで自撮りしていて、スマホ待受画面も自分の写真にしている人が老若男女問わず大勢います。若い女性に限ればおそらく8割を上回る勢い(※あくまでも私の肌感覚)。

そんなこんなで、参拝することで功徳を積み、同時に映え写真もゲットできるWat Khao Sung Chaem Faは、敬虔な仏教徒が多く、なおかつセルフィー好きな国民性に合致し、流行るべくして流行っている感じです。

実際、外国人観光客はあまり訪れず、お寺側も完全に地元の参拝客をターゲットにしている印象。寺院の規模や盛況ぶりを鑑みると、英語表記や中国語表記がほとんどない点にも良い意味でちょっぴり驚かされました。

 

気になる神仏像+α

冒頭で触れた新エリア云々以前に、もともと見どころの多いWat Khao Sung Chaem Fa。そのなかで特に目を惹いたものをいくつか選んでみました。

 

①チャーミングな涅槃像

駐車場から境内に入ってまず目に飛び込んでくるのが金色の涅槃像。けっこうな大きさで、とりわけ頭がやたらと強調されています。バランスの悪さがかえってこの涅槃像の魅力を増幅?

③のガネーシャ像に辿り着く手前にも、白亜の涅槃像が置かれています。こちらも推定5頭身と、金色の涅槃像に負けず劣らずバランスが……。

ついでに、手と頭の位置がやや不自然なせいで、苦しそうな体勢になってしまっているところも気になりました。

 

②ナーガの腹の下

本堂を囲むかたちで配置されているのが、インド神話に由来する蛇神のナーガ。2022年1月には政府がナーガを国の公式シンボルに指定するなど、タイでは物凄くポピュラーなモチーフです。

タイの寺院では本堂の守り神として外壁や階段によくナーガが用いられているのですが、Wat Khao Sung Chaem Faにいるナーガは何たって巨大。

ナーガは頭の数が多いほど強いとされ、普通は胴体よりも頭の造形に凝りがちです。一方、Wat Khao Sung Chaem Faではむしろ胴体に重きを置き、参拝客が腹の下を潜れる仕組みになっています。

脱皮を繰り返すナーガは輪廻転生の象徴、さらには永遠の生命多産の象徴。腹の下をぐるぐる歩くと、安産や長寿のご利益にあずかれる……かもしれません。

 

③巨大なラーフとガネーシャ

巨大像は②のナーガ以外にもまだまだ存在。というか、Wat Khao Sung Chaem Faに祀られている神々はいちいち大きく、「お~!」と圧倒されます。

上掲のラーフも、下掲のガネーシャも、写真じゃサイズ感を伝えられないのが非常に残念。1つ1つが大掛かりで、単体でも参拝客を見込めるはずなのに、それらが1か所に集まっているなんて、かなり得した気分です。

ちなみに、ラーフは厄払い交通安全ガネーシャ商売繁栄学問の神であり、②のナーガと合わせれば恋愛成就を除く大概のお願いが一気に済ませられるのも嬉しいポイント。

細部の意匠がざっくりしすぎていたり、表情が微妙だったり(ガネーシャの目がやばい!)、だいぶ大味な仕上がりではありながらも、総じてタイ仏教の『アベンジャーズ』みたいなランナップが最高です。

 

④僧侶像とスカイウォーク

Wat Khao Sung Chaem Faには丘の上から人々を見渡す格好で、僧侶像が安置されています。写真上の方はどなたかわかりませんでした。

この僧侶像の前が床面シースルーなスカイウォークになっています。高所恐怖症の方は要注意。地元の方もキャーキャー大騒ぎでした。

スカイウォークから見える景色は上の画像の通り。お気付きでしょうか。もう一躯、超巨大な僧侶像が……。こちらは数々の伝説を残すLuang Pu Thuat(ルアン・プー・トゥアット ※カオヤイにある氏を祀ったお寺の記事リンクも貼っておきます)。

Luang Pu Thuat像の周りもドラゴンがしっかり護衛し、その龍の口からは滝の如く水が流れています。どんな世界観よ?

 

謎の日本庭園

このようにエンタメ感満載のWat Khao Sung Chaem Faは、2023年10月に新エリアの日本ゾーンが完成したばかり。

私が訪れた時は工事が終了しておらず、京都の伏見稲荷を模した千本鳥居しか出来上がっていませんでした。が、すでに楽しげな雰囲気がムンムン。

例えば着物レンタルのショップがプレオープンしていたり、鎌倉大仏の名を掲げて材料費を募っていたり……(※ページ最後の参照)。

さくっと調べた結果、案の定、鎌倉大仏殿高徳院とは提携していませんでした。そもそも伏見稲荷鎌倉大仏殿高徳院を合体させるアイデアが斬新。

完成後の写真を公式SNSより拝借しました。上掲画像は自称・鎌倉大仏です。はい、だいぶ違います。後ろに広がる竹林の美しさがまったく目に入ってきません。

続いてはアニメチックな招き猫。こういうテイストが外国では日本っぽいとされるのでしょう。細かい箇所を指摘すると、右手を上げているタイプは金運を招き、左手を上げているタイプは人脈を招くのが一般的。

「金運万来」と書くならば右手を上げるデザインにしてほしかったですし、あるいは金色には金運、赤色には無病息災と、色別に文言を変えてほしかったです(※招き猫の手の位置や色ごとの意味は諸説あります)。

ただし、こういう詰めの甘さも私の思うタイの愛おしい部分。クスッとさせられてしまうあたりも含め、個人的には「日本を愛してくれてありがとう」の気持ちでいっぱいです。

 

最後に……

Wat Khao Sung Chaem Faのレポート、いかがでしたでしょうか。初詣に行きそびれた方にも伏見稲荷高徳院疑似参拝した気になってもらえたら幸いです(流石に無理があるか……)。

最後に、先述したLuang Pu Thuat氏は、互いに尊重する大切さを説かれています。強引に解釈していくと、タイやインドや日本の文化がミックスされ、独特の空間を創出しているWat Khao Sung Chaem Faは、案外その教えを忠実に再現していると言えなくもない!?

ただただデカさ派手さにワーワーはしゃいでしまった珍スポットに目がない私。でも、「実は深い意味があるんじゃないか」「いや、そうでなきゃおかしい」「絶対そうに決まってる」と、いま改めて考えています。

どんなに悪意がないとしても、千本鳥居や鎌倉大仏無許可での模倣は断じて褒められたものではありません。なかにはこれを読んで不快に思われた方もいらっしゃるでしょう。

だけど、タイの人が喜んでくれて、1人でも多くの方が日本に興味を持ってくれるなら、よしとしようじゃないですか。皆様におかれましては、どうか寛大な心でおもしろがってやってくださいませ。

 

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