今日のお題はWat Mahabut(ワット・マハーブット)。タイ国民の間ではバンコク3大寺院――エメラルド寺院ことWat Phrakeaw(ワット・プラケオ)や暁の寺ことWat Arun(ワット・アルン)、涅槃寺ことWat Pho(ワット・ポー)――にも引けを取らない人気を誇りながら、外国人観光客にはイマイチ知名度の低いお寺です。
なお、このお寺を有名たらしめているものはMae Nak(メー・ナーク)という霊を祀った祠なのですが、この霊にまつわる話は次に回すとして、今回はお寺の歴史や個人的にツボだったポイントなどを先にご紹介させてください。
村人主導で作られたお寺
BTSオンヌット駅からWat Mahabutまでは1.5km。Big Cを右手にオンヌット通りを直進し、Soi7を左折するとそこから参道が続いていきます。
徒歩での所要時間は約20分。タクシーだと10分足らずで着くはずです。ただし、下町風情溢れるオンヌットの街並みが最高につき、歩いて行くのが俄然オススメ。
プラカノン運河沿いにあるこのお寺が建立されたのは、アユタヤ王朝末期の1762年。きっかけは、Wat Ratchaburana(ワット・ラーチャブラナ)で修行を積み、当時人々から大変な尊敬を集めていた僧侶が、この村で暮らす親戚を訪ねてきたことに始まります。
村に偉いお坊さんが来ているとの噂を聞きつけた住民たちは、すぐさま「ここにお寺を立てて、定住してくれませんか?」と彼に直談判。
そして村人が一丸となってお寺の建設に乗り出し、名称はそのまま僧侶の名前から拝借した……といった説明が案内板(↓)には書かれていました。
権力者が「この地にお寺を建てなさい」と命じたのではなく、あくまでも村人主体で出来上がったというエピソードが素敵ですよね。
こうした背景を持つためか、良い意味でWat Mahabutには厳かな空気が希薄。もっと言ってしまうとMae Nakの祠を除けば娯楽場みたいな雰囲気で、うっかり宗教施設だという事実を忘れる瞬間すらありました。
ここは何だ?
まず私が度肝を抜かれたのは装飾のユニークさ。エラワン象に乗ったインドラ神や、7つ頭のナーガの前で瞑想するブッタなど、寺院らしい像が祀られているすぐ傍に、写真上のような一角が……。骸骨の置物が並び、お化け屋敷さながらです。
また、棺桶から骸骨が飛び出すビックリ系の仕掛け付きオブジェもありました。ここまで骸骨を推しているからには何らかの意味があるのでしょうけど、それにしたって違和感が凄い。
他にも大密集ゾーン(↑)があるかと思えば、なぜかその近くにハルクも降臨。横のドラはどんなタイミングで叩けばいいのやら……。
ついでにこのハルクの真正面では日産がブースを出して新車を販売。お寺の中ですよ。聖と俗が入り乱れすぎて頭が大混乱です。
そうそう、おみくじの多くが派手なルーレット形式というのもエンタメ性高し。脱力系の効果音も相俟って、笑いをこらえるのにひと苦労でした。
お弁当を広げたり、昼寝していたりと、参拝客が思い思いにくつろげるスペースでは、結構な音量で繰り返しフュージョン歌謡ジャズが流れていて、これがすこぶるカッコ良し。不思議な空間を作り出すのに一役買っています。
そもそもウェルカムボードからしてこれ(↑)ですからね。世界観の散らかりっぷりがハンパない。気になる点が多すぎてすぐさまWat Mahabutの虜になりました。
夜もヤバイ!
そんなWat Mahabutは夜も大盛り上がりです。実は日中に訪れた際、ビニールに覆われた屋台が大量に待機しているのを発見。「これは夜もチェックせねば!」と、日を改めて訪問することにしました。
参道からカラフルなイルミネーションを確認した時点で、もうワクワクが止まりません。確認しておくと、ここはお寺です。
バンコク3大寺院のエレガントなライトアップと比べてどうですか。愛おしくなるほど安っぽいですよね。
観覧車もちょっと危なげ。ギーギーと音を立てながら回る様は、そこらのジェットコースターに乗るよりよっぽどスリリングかと思われます。
他にも、かの『ONE PIECE』をオマージュした滑り台、射的やメリーゴーランド、ボール掴みなどなど、キッズ向けのアクティヴィティーが充実。
フードの価格は、それこそカオサンやシーロム、スクンビットをはじめ、ツーリストの多いエリアに比べたらだいぶリーズナブルです。ご参考までにパッタイが25~30THB(約87~105円)。
飲食スペース前方のステージでは、カラオケ大会が催されていました。楽器もスタンバイし、あと少し粘れば地元バンドのライヴが観られそうでしたが、ここでタイムアップ。次の訪タイの楽しみにしおきましょう。
そんなこんなで、ガチで好きになってしまったWat Mahabut。次回はこのお寺を舞台とするMae Nakの伝説について取り上げたいと思います。
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