昨年末からカンチャナブリーの寺院をいくつか取り上げてきましたが、あえてお気に入りNo.1を選ぶとするなら、私は今回のWat Khao Yai(ワット・カオヤイ/วัดเขาใหญ่)にしておきます。
広すぎず狭すぎない敷地面積、眺めの良さ、穴場感、フレンドリーな雰囲気……さまざまな面でかなりグッときました。
のどかな場所に建つお寺
建立50年を超えるWat Khao Yaiがあるのは、Wat Khao Sung Chaem Fa(ワット・カオスーン・チェームファー/วัดเขาสูงแจ่มฟ้า)やWat Khao Chong Pattanaram(ワット・カオチョーン・パタナーラーム/วัดเขาช่องพัฒนาราม)と同じターマカ地区の端っこ。
カンチャナブリー市街地からは40km少々で、道中ののどかな景色も素晴らしいです。通りには牛の注意標識なんかが出ていました。実際に大量の牛を見ましたし、道路脇の用水路ではミズオオトカゲもチラホラ目撃。
寺の名前に掲げられたKhao Yaiとはタイ語で大きな山の意味。タイ中部~東北部の4県を跨る世界遺産のカオヤイ国立公園とは無関係です。
ついでに、山に沿って建てられてはいるものの、どう見ても大きい山ではありません。入口から仏塔のそびえる頂上まで、参拝経路をぐるぐる回っても500m弱。
はい、完全に名前負けしています。しかし、そんな些細なポイントにいちいち引っ掛かっていたのでは埒が明きません。気にせずサクサク進みましょう。
コントかよ!!
駐車場にバイクを停めていると、すかさず貫禄たっぷりな住職が急ぎ足で出てきました。何か注意されるのかとドギマギするも、笑顔+ワイ(合掌)でお出迎え。
その住職が指差した先にはサングラス姿の仏像が……(※写真下)。私もツレもサングラスをしていたため「お揃いだよ」的なニュアンスだったのか、はたまた別の意味があったのかは不明。
それにしても、よりによって仏様にミラーレンズを付けますかね? パリピ風になっちゃっていますけど、大丈夫ですか? とりあえず住職に促されるままカメラに収めておきました。
しばらくしてスピーカー伝いに声が聞こえてきました。お説法、もしくはお布施のお願いみたいな話をされていたのでしょう。
平日の中途半端な時間帯に行ったせいもあって、参拝客は私とツレの2人だけ。どう考えても私たちに向かって語り掛けています。
悲しいかな、私たちはタイ語が聞き取れません。それでもタイ語独特の柔らかいイントネーションに耳を傾け、気分良く見学させていただいていました。
その時です。急に話し手が笑いのツボにはまってしまい、笑いをこらえては吹き出し、こらえては吹き出しを何度もループ。1回水でも飲んで落ち着きましょうよ。これが公共の電波だったら立派な放送事故ですって。
ひたすらツボっているアナウンスをBGMに山頂をゆっくりめざしていると、途中のお堂で1人の僧侶がスマホをスクロールしながら黙々とお経を上げていました。
ひたすらツボっているアナウンスをBGMに山頂をゆっくりめざしていると、途中のお堂で1人の僧侶がスマホをスクロールしながら黙々とお経を上げていました。
「最近は経本まで電子書籍化しているんだな」などと興味深く眺めていたのも束の間、私たちの存在に気付いた僧侶がそっとスマホを伏せるじゃないですか。いま絶対に関係ない画面を見ていましたよね?
……と、いろいろツッコミどころの多いWat Khao Yai。本当にコントの世界です。畏まった場所が得意でない私には、このくらい緩いほうが落ち着きます。最高に和ませてもらいました。
キュートな少年僧
Wat Khao Yaiでのほんわかエピソードをもう1つ。境内をブラブラしていた際にキュートな小坊主コンビがスマホ片手に近付いてきました。
Googleの翻訳機能を介して「Hello」と言われ、「サワディーカー」と返すや、キャッキャとはしゃぐ2人。「どこから来たの?」「日本だよ」「うわー、日本人初めて見た」と、こちらに興味津々です。
バンコク近郊の人気観光地であるカンチャナブリーでこのリアクションは超新鮮。「ここにはあまり外国人が来ないの?」との質問に対しては、「ほとんど来ないよ」と教えてくれました。
よほど外国人が珍しかったのか、別れ際に「写真を撮っていい?」と訊かれたので、「私も2人の写真を撮ってよければOKだよ」と答え、互いに撮り合いっこ。
写真センスに乏しい私でも、素材が良いとこんなに素敵な一枚が撮れるんですね。宝物が1つ増えました。
最後に……
あれこれ好き勝手に書きつつ、くれぐれも誤解しないでいただきたいのは、Wat Khao Yaiが厚い信仰を集めるちゃんとした寺院だということ。
お供え物の量からして、それは一目瞭然。特に頂上にある仏舎利塔の周囲には、その日の朝に手向けられたであろう数多のフレッシュな花が置かれていました。
ヘタウマ具合がたまらない脱力系オブジェの多くは、おそらく業者が作ったものじゃなく、地元の有志(or修行僧)によってハンドメイドされたもの。
タイではいわゆる仏師と呼ばれるような専門の職人のみならず、一般の方々も神仏像を手作りし、お寺に寄贈する慣わしがタンブン(功徳)の一種として存在するらしいです。以前に何かの本で読みました。
あくまでも私個人は、それこそタイ王室寺院の上級クラスにリストアップされている豪華絢爛で荘厳なお寺よりも、Wat Khao Yaiタイプの愛嬌と手作り感に満ちたお寺に惹かれる傾向があります。
大して写真映えしないし、ツーリストの知名度や人気も異様に低いし、アクセスも良くはないです。
したがって、カンチャナブリーを旅行される方全員がマストで行くべきとは思いません。こういう世界観が好きな方にピンポイントで刺さったら御の字です。
【お知らせ】東南アジアで買い付けてきたアイテムを販売中。春夏は水着やリゾート服を中心に、秋冬はアクセサリーを中心にラインナップしています。ぜひチェックしてみてください。
ランキング参加中。ぽちっとしていただけたら嬉しいです。