FAR-OUT ~日本脱出できるかな?~

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【カンチャナブリー観光】陸軍が運営するほのぼの系動物園

今回ピックアップするのはSurasi Camp Zoo(スラシー基地動物園/สวนสัตว์ค่ายสุรสีห์)。前回のターロー浜に続き、外国人旅行者にスルーされがちではあるものの、なかなか味わい深いほのぼの系レジャー施設です。

 

軍営の動物園?

カンチャナブリーの市街地から15km少々の距離に建つSurasi Camp Zooは、陸軍が運営する入場無料の動物園。周りは軍事基地に囲まれています。

軍営の動物園って何だか不思議な感じもしつつ、別に従軍用の動物を飼育しているわけではないのでご安心ください。

園内の看板を意訳すると、設立理由は大まかに2つ。1つ目は軍関係者の家族や近隣地域の人々に向けた休息の場を作りたかったから。2つ目は学生さんに自然や動物に関する学びの場を提供したかったから。

果たして、1984の開園以来、ローカルに愛されてきたSurasi Camp Zoo。運営費は主に来園者が購入する餌代で賄われています。

そう、同園の目玉は餌やり体験。カウンターではガチムチの飼育員(たぶん現役の軍人さん)が、せっせと動物たち用のフルーツをカットしていました。

 

徴兵制度のあるタイ

少し脱線しますが、タイの男性には兵役義務が課されています。微笑みの国なるピースフルなキャッチフレーズとは裏腹に、現実は軍が関与せざるを得ないさまざまな問題が山積しているタイ。

南部に潜むイスラム過激派や北部の麻薬組織を相手に闘争を繰り広げたり、つい10年前にも国境線を巡ってカンボジアと激しく衝突したり……。

それこそミャンマーと国境を交えるカンチャナブリー県では、2021年に勃発した隣国の軍事クーデーターを受け、軍と警察が国境警備を強化。けれども、密入国は後を絶たず、たびたびメディアで取り沙汰されています。

タイ軍の入隊がクジ引きによって決まる慣わしはよく知られた話。確率は5人に1人で、肥満やレディーボーイは兵役が免除され、たとえ心は女性でも性転換手術前であれば兵役可能と見なされるとか。

毎年4月に行われる運命のクジ引きがちょっとした風物詩になっていて、ショックのあまり失神してしまう若者もチラホラ。

年間何人かは役務中に命を落としていますし、そもそもクジ引きで人生の一大事を決められてしまうなんて、当事者からするとたまったもんじゃないですよね。

で、ニュースを通じて抱いてきたタイの軍隊に関する過酷なイメージと、Surasi Camp Zooののほほんとした雰囲気(※写真上)にギャップがありすぎて、もし私が赤札を引いてしまったら、是が非でもここに配属されたいと切に思いました。

なお、かねてより「流石にクジ引きで兵役を決めるのはおかしくなか?」との意見も多く、2023年の新政権発足を皮切りに、制度見直しの方向へ動いている旨も付記しておきます。

 

華やかさには欠けるけど……

さて、Surasi Camp Zooで出会える動物を、覚えている範囲で列記してみました。テナガザルやニホンザル、イグアナ、カワウソ、シカ、イノシシ、ヤマアラシ、オオカミ、マレーグマ、ウマ、ウシ、オオハシやインコ、カメ、淡水魚など。

正直、あまりパッとしません。しかも水槽コーナーのほとんどが空っぽだったのに加え、魚がいたとしてもラベルと中身が全然一致していない有り様。

ついでに、一部放し飼いされているウシの近くを、野良猫やら、野良リスやらが何食わぬ顔で歩き回っていて、どの子に餌付けすればいいか、よくわからないカオスな状態に陥っています。

それでも地元のキッズが楽しそうに餌やりしている姿を見るたび、温かい気持ちになりました。こういうスペースを無料開放しているのは本当に素晴らしいです。

また、来園者数のわりには餌が飛ぶように売れていて、これも動物に餌やりするのがタンブン(徳を積む行為)の1つとされているタイならではの光景じゃないかと感じた次第。

ちなみに、Surasi Camp Zooの前を通るルート3086を18km先へ進めば、私営のサファリ・パークがあります。こっちにはトラやライオン、ゾウ、キリンといった大型の哺乳類がわんさかいるらしく、観光客にも大人気。

入園料は外国人価格で大人が550THB(約2200円)/子どもが350THB(約1400円)。タイ人価格は大人が200THB(約800円)/子どもが100THB(約400円)。

1000THB(約4000円)の追加料金でキリンに囲まれながら物凄い映え写真が撮れちゃうサービスも提供しています。

派手さや規模では遠く及びません。Surasi Camp Zooの惨敗。とはいえ、Surasi Camp Zooには地域密着型の動物園でしか見られない光景が広がっているのも確かです。

ここは地元のファミリーが2世代(ひょっとして3世代?)に渡って思い出を育んできた場所。そうでないと、遊びに来た人が置いていく餌やり代という名目の心づけで40年も動物園が存続できっこありません。

そんなこんなで、カンチャナブリーへ行った折には、あまり過度な期待はせず、何ならボランティアのつもりで、ぜひSurasi Camp Zooを訪れてみてください。ゆっくり見学しても1時間あれば十分です。私は案外楽しめました。

 

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