FAR-OUT ~日本脱出できるかな?~

現在は旅の記事をお休みし、旅関連の本を紹介する読書ブログに切り替えています。

内田幹樹『機長からアナウンス』|読書旅vol.72

ヘビーユーザーならではの視点で飛行機にまつわるあれこれが紹介されていく『パラダイス山元の飛行機の乗り方』を読了し(※詳しくはこちら)、今度は内部から航空業界を覗き見しようと、内田幹樹さんの『機長からのアナウンス』(2001年/新潮文庫)を手に取ってみました。

 

パイロット出身の異色作家

内田さんは1965年にANAへ入社し、長年パイロットとして国内線/国際線に乗務した後、フェアリンク(現アイベックスエアラインズ)の立ち上げに関与。

それと並行して、ANAの教官時代にはサントリーミステリー大賞に応募し、『パイロット・イン・コマンド』で優秀作品賞を獲得。同作が書籍化された3年後の2000年には第2弾『機体消失 タイフーン・トラップ PILOT IN COMMAND II』、2002年には第3弾『操縦不能 PILOT IN COMMAND III』もお目見えしています。

プロのパイロットがエンジン・トラブルハイジャックをモチーフにしたミステリー小説を書くって凄いですよね。例えば『パイロット・イン・コマンド』に登場する機内と管制のやりとりも、描写がめちゃくちゃ細かく、臨場感たっぷりでした。

本稿の主役である『機長からのアナウンス』は、小説家としても好調な滑り出しを切った内田さんの初エッセイ。続編『機長からアナウンス第2便』(2002年)と合わせてベストセラーを記録しています。

1999年の作家デビューから、66歳でこの世を去る2006年まで、年に1冊ペースで本を出版されていた内田さん。特異なキャリアを活かした作風は、真似したくても真似できない唯一無二のもの。

今回『機長からのアナウンス』を再読し、もっとたくさんの内田幹樹作品を読んでみたかったと、改めて感じました。

 

航空業界の知られざる裏側

パイロットの勤務体系はどうなっているのか?〉〈給料は高いのか?〉〈離着陸はどちらが難しいのか?〉〈フライト中は何をしているのか?〉〈UFOを見た経験はあるか?〉といった、素朴な疑問に次々と答えていく『機長からのアナウンス』。

俗っぽいネタが大好物な私としては、とりわけ〈パイロットとCAはイイ仲になりやすいのか?〉という回答に興味津々でした。

少々ネタバレしてしまうと、パイロットとCAが関係を持つケースは、こちらが思っているよりも少ない模様です。むしろCAはお客さんと結婚するパターンが多く、嫁ぎ先の中には芸能人プロ野球選手もしばしば。

パラダイス山元さんの著書にも、高確率で野球選手が乗っているシーズン中の福岡-名古屋便ではCAが色めき立ち、「時に、猛打賞を贈呈したいくらいのアプローチが観察できます」と書かれていました(言い方よ!)。

ちなみに、仕事の都合であまり自宅へ帰れないパイロットは奥さんに浮気されがちで、バツあり率もかなり高く、再婚相手に限っては事情をよく知るCAを選ぶ人が多いと、内田さんは綴られています。

他にも、行政航空大学校に物申したかと思えば、関西空港の大きな欠点を鋭く指摘、はたまたライバル社の……(以下、自粛)など、〈そんなことまで書いちゃって大丈夫ですか?〉と心配になる箇所もチラホラ。

何でも、担当編集者から言われた「飲んでるときの内田さんの飛行機の話っておもしろいですよ。僕らだけで聞いているのはもったいない」との言葉をきっかけに、本書が生まれたそうです。

それにしたって、飲みの席でのここだけの話をあけすけに活字にし、ドーンッと出版してしまうとは。内田さん、最高です。そりゃ、おもしろいわけです。

酒の話題が出たついでに、1つ耳より情報を。オフの日は港区界隈で派手に遊んでいるイメージを勝手に抱いていたパイロットですが、意外にも皆さんがよく出没するのは、穴守稲荷~蒲田あたりの庶民派エリア。羽田から近いですしね。

確かに、ツレとたまに行っていた蒲田の赤提灯街にある立ち飲みピザ屋も、JALの美食CAこと花谷遥さんがテレビで紹介していましたっけ。パイロットやCAとの出会いを求める方は、蒲田周辺をぶらついてみてはいかがでしょうか?

 

飛行機に乗るのが楽しみになる本

それはさておき、私はこの本を読むと、次回、飛行機に乗るのがちょっぴり楽しみになります。飛行機の揺れが苦手な方は少なくないはず。私も然りです。しかし、時としてパイロットはわざと機体を揺らす場合もあるんですって。

“気流の乱れていそうな雲を横切るとき、そのまま飛べば何人かはかならず酔ってしまうようなケースがある。

こうしたときは、ふつうは速度を落とす。自動車でも道の悪いところで速度を落とすのと同じだ。しかしそこをあえて速度をほとんど落とさないで通過したり、降下率をうんと大きくして、とにかくそこにいる時間を短くするのだ。短い時間で通過すればそれだけ早く機体を安定させることができるし、お客さんもちょっとだけ鼓動が早くなって飛行機酔いどころではなくなる。言葉は悪いが、一石二鳥ということだ”

飛行機酔いをするか、一瞬の恐怖を我慢するか――確かに後者のほうがずっといいです。仮に近くの座席でゲロゲロしている人がいたら、残りのフライト時間がしんどくなりますし……。

つまり、〈揺れましても飛行機の安全性には関係ありません〉的なCAさんのアナウンスは決してまやかしなんかじゃないということ(たぶん)。皆さんもフライト中に大きく揺れた暁には、この話を思い出し、〈機長さん、ありがとう〉と心の中で呟いてみてください。

折しもいまはお盆休みの直前。『機長からアナウンス』はバカンスや帰省で飛行機に乗る予定のある方に、特にオススメしたい1冊です。

私ですか? 私はビーチウェアの駆け込み需要を狙って、お盆はがっつりフルで働く予定。それが落ち着いた頃合いに、久しぶりの空の旅を楽しんじゃおうかなと、コロナ第7波の動向をやんわり気にしつつ、絶賛企み中です。

※記事内の画像はフリー素材を使用しています。本著とは直接関係ありません。

www.shinchosha.co.jp

 

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