FAR-OUT ~日本脱出できるかな?~

現在は旅の記事をお休みし、旅関連の本を紹介する読書ブログに切り替えています。

パラダイス山元『パラダイス山元の飛行機の乗り方』|読書旅vol.71

私は飛行機を移動手段の1つとしか考えておらず、そこに浪漫は感じません。ANAの機内で葉加瀬太郎さんの“Another Sky”が聴こえてきた瞬間だけ、ほんの数秒テンションが上がるものの、あとは1分でも早く目的地に着いてほしいと願い、さっさと寝に入るのみ。できれば離陸前に眠り、着陸後に目覚めたい派です。

そもそも空港の無機質な雰囲気もあまり好きじゃないし、コロナ以降、マイレージプログラムへの興味も一切なくなりました。

もっとも、コロナ前からマイルに関しては、ラウンジ利用のためにせっせと修行する友達を見て、〈正気か?〉と内心思っていましたけどね。

ところが、飛行機から遠ざかって約2年半、流石に恋しくなってきました。機体の揺れによってフワッと胃が浮く感じも、妙に懐かしい今日この頃。

そこで、少しでも機上にいる気分を味わおうと、今回は『パラダイス山元の飛行機の乗り方』(新潮文庫)を選んだ次第です。

 

1日で11回の搭乗記録を持つ男

東京パノラママンボボーイズパーカッショニストである著者のパラダイス山元さんは、マン盆栽※フィギュアなどでデコった盆栽の一種)の創案者、会員制餃子専門店のオーナーシェフグリーンランド国際サンタクロース協会公認のサンタクロース、入浴剤ソムリエ、鉄オタなど、さまざまな顔を持つ方。

あれこれ手を出しつつ、いずれのジャンルにもガッツリ精通されているのが凄い点で、〈パラダイス山元という人間がこの世に何人もいるのではないか?〉と思ってしまうくらいです。

そんな山元さんが熱中しているものの1つが飛行機であり、『パラダイス山元の飛行機の乗り方』は航空ファンとしての活動をまとめた飛行機3部作の第1弾。

もともとは2013年ダイヤモンド・ビッグ社から『パラダイス山元の飛行機の乗り方 1日11回搭乗の「ミリオンマイラー」が教えるヒコーキのあれこれ』なるタイトルで刊行され、2018年に長い副題をカットし、新潮社より文庫化されています。

山元さんは1日で11回、1年間で1024回搭乗した経験があり、ほぼ機内食オンリーで生活する年もあったとか。基本的には空港から1歩も出ず、いわゆるタッチを繰り返し、ラウンジで食べては機内サービスもしっかり満喫する日々。ただし、ストイックな修行僧でないと、ご本人はプロローグで強調されています。

“マイルを貯めるために飛行機に乗っている「マイラー」とよく誤解されがちなのですが、そうではありません。(中略)手段が目的化してしまった時点で、マイラー、修行僧と呼ばれる類からきっぱり足を洗いました。たしかに、たくさん乗っているとマイルはどんどん貯まります。使っても、使ってもなかなか減りません。でも、マイルを貯めるためだけに飛行機に乗るなんて、もったいなさ過ぎます。

飛行機に、そもそも何のために乗っていますか? 仕事、出張、冠婚葬祭、旅行……。理由がなくて、飛行機に乗ってはいけませんか?”

あくまでも目的は飛行機に乗ること。純粋に空の旅が好きで、気付けば1年間で1024回の搭乗記録を樹立してしまったとは、狂ってる……じゃかなった、山元さんの深い飛行機愛にのっけから圧倒されました。これぞダイヤモンド会員の鑑!

ちなみに、本著はすべて機内で執筆。この本の制作によって、次年度のラチナムサービス・メンバーが確定した旨も付記しておきます。

 

世界一役に立たない飛行機の乗り方

さて、山元さんの搭乗エピソードは本当に〈正気か?〉のオンパレード。冒頭で書いたマイラーの友人なんぞ足元にも及びません。比べること自体が失礼です。

元旦からわずか9日間でダイヤモンド会員資格に到達しただの、名古屋での仕事にわざわざ東京から飛行機に乗るだの。

その名古屋行きも、基本は①成田→名古屋としたうえで、②羽田→沖縄→成田、③羽田→沖縄→石垣→成田、④羽田→福岡→名古屋、⑤羽田→札幌→名古屋、⑥羽田→女満別→名古屋、⑦羽田→伊丹→いわて花巻→名古屋(小牧)、⑧羽田→香港→名古屋、⑨羽田→フランクフルト→名古屋といったお気に入りのルートを紹介。

新幹線を利用すれば、東京23区内にある自宅から成田に向かう間に目的地のメ~テレまで着いてしまう……なんてツッコミを一瞬で黙らさる、まさかの外国経由。仕事で名古屋へ行くのにパスポートを持参している都民がいるとは、夢にも思いませんでした。

また、世界サンタクロース会議に出席するべく、コペンハーゲンへと向かった山元さん。公認サンタクロースは自宅からサンタのコスチュームで現地入りしなければならないルールがあるらしいです。

都心からコペンハーゲンまでサンタの格好で移動する時点で十分フツーじゃないですが、〈せっかくコペンハーゲンまで行くなら、目一杯ビジネスクラス機内食を楽しもう〉と、往路は成田→ミュンヘンコペンハーゲン復路コペンハーゲンオスロヘルシンキストックホルム→パリ→ウィーン→フランクフルト→カイロ→イスタンブール→ムンバイ→成田という驚きのプランを決行。

往路はともかく、復路は10区間を途中ストップオーバーなしの0泊でやってのける荒業です。この超特殊ルートに空港職員が不信がるのも無理ありません。果たして、サンタの格好をした山元さんは完全に運び屋と間違えられ、全裸で検査を受けたそうです。

他にも、初便の魅力やスイートラウンジのお得な利用方法、ファーストクラスの嗜み方をはじめ、いろいろな角度から飛行機のおもしろさを伝えてくれる本書。

「この本には、世界一役に立たない飛行機の乗り方が綴られています」とは著者の弁。エチケット袋の便利な使い道や羽田空港のターミナル別本屋の特徴といったごく一部を除き、多くが参考にしたくても並みの人間じゃ実践できない難易度の高い話ばかりです。

それでも、山元さんの文章を通じて、改めて航空業界全般の素晴らしさを感じました。先ほどは〈飛行機を移動手段の1つとしか考えてない〉などとほざいて申し訳ございませんでした。

 

ANAは凄いぞ!

最後に私の思い出話を1つ。せっかくですし、ANA超優良会員の山元さんに敬意を表して、ANAについて書くとしましょう。

運悪く生理2日目にフライトがバッティングした時のこと。よりによって、私は鎮痛剤受託手荷物に入れてしまいました。

離陸後しばらくして体調が悪くなり、それを察したCAさんがそっと余分にブランケットを差し出してくれました。この時点で涙が出るほど感動。しかし、まだ続きがあります。

機内の照明も落とされ、みんなが寝静まっている最中、気圧差で過去イチ激しい頭痛に襲われた私。例えるなら、孫悟空の緊箍児みたいなもので思いっきり頭を締め付けられているイメージです。冗談抜きで、このまま頭の上半分が取れてしまうかと思いました。もう気絶寸前です。

〈これはヤバイ〉と本能的に感じた私は恥を忍んでCAさんを呼び、をもらうことに(飲み合わせなどを考慮してか、常薬の有無を確認されました)。

すぐに対応してくれたCAさんは、薬と……ではなく、薬とぬるま湯を座席まで持ってきてくれたのです。このぬるま湯が薬を飲むのに絶妙な温度でして。

何たるサービス精神! エコノミークラスの私にまで、こんなにも心のこもったおもてなしをしてくれるとは! 五つ星エアラインってやっぱりハンパないです。

コロナ禍で大打撃を受けた航空業界。海外旅行好きとしては、この業界が元気でいてくれないと困ります。山元さんの飛行機愛が私にまで伝染したのか、微力ながら貢献したい気持ちになってきました。

山元さんのような乗り方はできませんけど、近いうち東南アジア通いを再開させるつもりでツレとも話を進めているので、その折にはまたよろしくお願いします(※てか、ここまで書いておいて、予算の都合上、次はたぶんLCCです。ANAさん、ごめんなさい)。

※記事内の画像はフリー素材を使用しています。本著とは直接関係ありません。

 

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