FAR-OUT ~日本脱出できるかな?~

現在は旅の記事をお休みし、旅関連の本を紹介する読書ブログに切り替えています。

さくら剛『インドなんて二度と行くか!ボケ!!...でもまた行きたいかも』|読書旅vol.70

前回ピックアップした『インド人の頭ん中』の流れで、もういっちょインド本を。今回はさくら剛さんの『インドなんて二度と行くか!ボケ!!...でもまた行きたいかも』(2006年/アルファポリス)を選んでみました。

さくらさんの作品を当ブログで取り上げるのは、『海外旅行なんて二度と行くかボケ!!』(※詳しくはこちら)と『アフリカなんて二度と行くか!ボケ!!…でも、愛してる(涙)。』(※詳しくはこちら)に続いてこれが3回目。

10万部超えのベストセラーを記録した『インドなんて二度と行くか!ボケ!!』はさくらさんのデビュー作であり、2011年の『中国なんて二度と行くかボケ!…でもまた行きたいかも。』や2012年の『東南アジアなんて二度と行くかボケッ!…でもまた行きたいかも。』他、悪態タイトル・シリーズの第1弾にあたります。

……って、これ以上、無駄に作品名を連呼したら、こっちまで頭がおかしくなりそうなので、ぼちぼち先へと進みましょう。

 

日常では味わえない荒行

萌え系彼女に振られて絶望の淵に立たされた当時ニートのさくら青年は、「私のこの貧弱で腐りきった10日前の弁当のような根性を叩きなおすには、日常では味わえない荒行が必要だ」と考え、突発的にインド行きを決意します。

期間は1か月。ちょっとした思い付きですぐに1か月間の旅に出られるとは、無職バンザイ。ただ、さくらさんはビザVISAカードの違いがわからず、インドの予備知識もゼロだったため、とりあえず『地球の歩き方』を読み込み、そして急に怖気づきます。往路の機内もこんな様子(↓)ですからね。往生際が悪すぎる。

“オレの心は、次第に不安でいっぱいになってきた。ああ、行きたくないよー……。

なんとか日本に引き返してくれないだろうか? 誰かハイジャックをして、成田へ着陸するよう機長を脅してくれないだろうか??

しかし無情にも、ジャックされることもなく、墜落することもなく、飛行機はうまいことインドの大地へ着陸してしまった。クソ。機長め!!”

果たして、インディラ・ガンディー国際空港へと降り立ったさくらさんは、効率の悪い入国審査に苛立ったり、空港で拾ったタクシー運転手の執拗な営業トークに戸惑ったりと、ジャブ程度にインドの洗礼を受けつつ、無事に宿まで到着。いよいよ1か月に渡る苦行、もとい、楽しいひとり旅が幕を開けるのでした。

 

キレて、キレて、キレまくる!

本書の内容を端的に紹介すると、リクシャマン自称ツアーガイドお土産屋の店員テルマにひたすらキレていく話が全体の7割強

残りの3割弱は、怒りを抑えながら(※とはいえ腹の内ではたぶん怒ってます)、日本とインドとの文化の違いを解説していく……みたいな感じでしょうか。

前者の7割強を占める商売人たちとのやりとりについては、インドを舞台にしたどの旅エッセイにも出てくるものの、押しの強いインド商人の鬱陶しさと、それとは違うベクトルで鬱陶しい独特の文体※褒めてます)が合わさって、物凄い相乗効果を生んでいる点が大きな見どころ(※いや、ホントに褒めているんですよ)。

“3000円で行けるところを、なぜたとえ宿泊費が上乗せされたとしても12万円も払わなければいけないんだ。まるでヌーブラの上にウォーターブラを付けるような水増しっぷりである”

“「女性が多い職場ですよ」と言ってうまく仕事に就かせようとするオレの以前の派遣会社と同じ手口だ。引き受けてから「女性の年齢層を聞いておくんだった……」と後悔してももう遅い”

えっと、何の話でしたっけ? とにかく、流暢な日本語で話し掛けてくる人と、タダでOKと言う人は信用しちゃダメなことだけはよくわかりました。

また、ここでは突っ込んだ言及を避けますが、さくらさんの個人情報――例えば時々が痛くなること、過去に残尿感を味わった経験があること、学生時代にニキビがあったことなど――を見事に言い当てたインチキ占い師との攻防も破壊力満点です(※大概の人間が一度は腰痛・残尿感・ニキビくらい経験していると思いますけどね)。

 

インドのトイレ事情

対する3割弱のパート。乗り合いバスで隣のおじさんからずっと手を握られていたエピソード(※インドでは男性同士でも当たり前に手を繋ぐとか)や、「もはやインドと映画は、荒川静香イナバウアーくらい切っても切れない関係なのだ」との理由からエロ系の映画館に足を運ぶエピソードはもとより、何と言ってもトイレ事情のレポートに著者の強いこだわりを感じました。

不浄の左手』と名付けられた項目では、トイレのやり方(大きいほう)を一から十まで懇切丁寧にレクチャー。とりわけ素人にとってお尻に水をかける動作がいかに難しいか、これを読めば十二分に理解できるはずです。

“尻を経由せずに勢いよく飛んでいった水は、時々便器や床から自分やインド人達の汚物を吸収しはね返ってくる。その行く先は自分のズボンや両手、その顔だ。くちびるにも飛んでくるよ”

“尚、うまく水が的にあたったとしても、最初のうちは勢いをつけすぎたり角度を間違えたりし、一度尻にあたってなにかを含んだ水がそのままズボンや靴にかかってしまう。そのためトイレの床は常に水びたし。もちろん旅行者やインド人の出したものを豊富に含んだきわめて肥料的栄養価の高い水である。これだけ栄養豊富なら、トイレの床を突き破ってド根性大根が生えてきてもおかしくない”

6ページに渡ってインド式トイレの作法を説いた『不浄の左手』を読んでいる間、想像力豊かな私は数回えずいたことも、併せて報告しておきます。

旅の後半にはインド旅の通過儀礼である激しい腹痛を経験。その時の苦しみをとくと綴った項目の見出しは『デリーでゲリー』です。

ただいま絶賛ダジャレにどハマリしている小2の甥っ子にもまったく引けを取らない言葉遊び、恐れ入りました(※いくつになっても少年の心を忘れない姿が素敵だなって意味で、決してディスではありません)。

 

でもまた行きたいかも

総じて、インドに着いてから日本に帰ってくるまで、ほぼほぼ文句しか言っていない本書。ところが、エピローグには以下の文言が添えられていました。

“オレも、そろそろ社会復帰しようじゃないか。インドでは、老人も幼い子供も、リクシャを漕ぎ数珠を売り物乞いをし旅行者を捕まえて、必死で生きてたじゃないか。イヤだ。疲れる。そんなことは考えず、たとえ仕事を選ぶ権利すらなくても、ただ生きるために一生懸命だった……”

あれ? 荒行の成果がちゃんと表れているじゃないですか。この人、たまにめちゃくちゃ良いこと言うんですよね。私ももっと必死に日々を生きなきゃダメだな……と思ったのも束の間、さくらさんはこう続けます。

“……なんてしんみり完結すると思ったら大間違いだ。必死に生きてるから、一生懸命暮らしてるから、だから旅行者をダマしてもいいなんてことにはならんだろうが!! この、アホのインド人がっ!!”

5秒前に感動して損した。でも散々コキ下しておいて、3年後に著者はインドを再訪しているんです。もうその事実がすべて。やっぱりインドには旅人を惹きつける強烈な何かがあるのでしょう。

ちなみに、さくらさんのインド再訪記は『インドなんてもう絶対に行くか!!なますてっ!』(※文庫化に際して『インドなんてもう絶対に行くかボケ!…なんでまた行っちゃったんだろう。』に改題)として2009年に出版されています。気になる方はそちらもぜひ。

※記事内の画像はフリー素材を使用しています。本著とは直接関係ありません。

 

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