2025年6月下旬にマリファナの使用や購入に関する規則を厳格化したタイ。2か月経ったいま、改めて現行ルールをおさらいしつつ、日本語で診断書を取得する方法やバンコクのディスペンサリーの様子などをざっくりとまとめてみました。
現行のルール
今回の再規制には大麻を医療用ハーブとして明確に位置付ける意図があります。要点を抜き出すと、こんな感じ。
- バッズを買えるのは医師の診断書を持っている人のみ
- 処方は1回につき30日分まで
- 1回の購入上限は30g(※1日1g計算)
つまり診断書(とID)の提示で30gまでは購入OK。ただし、日本の医療機関で作った診断書を持参しても意味がなく、タイ保健省が定めた下掲の書式でなければいけません。

そのほかにも、1か月以上の連続使用は娯楽目的とみなされる可能性があるとか、自動販売機やオンライン販売はNGとか、販売禁止区域の設定とか、官報には細々と新ルールが掲載されています。
診断書の申請から受け取りまで
指定機関の範囲
然るべき診断書はタイ国内の専門医や医療従事者が発行。ここで指す専門医や医療従事者には、タイ伝統医、漢方医、歯科医、薬剤師も含まれ、思った以上に振り幅が広いです。
使用許可されている症状と疾患
大麻の使用が許可されている主な症状と疾患は、慢性疼痛、がん治療に伴う吐き気や嘔吐、こむら返り、痙縮、パーキンソン病、関節痛、てんかん、アルツハイマー病、喘息、全般性不安障害、うつ病、不眠症。
そのうち現代医学の分野で認められているのは、慢性疼痛、がん治療、てんかん、痙縮の4つ……と紹介しているメディアもありました(※裏取りはしていません)。
もし不眠やうつ症状で申告する際は、このへんも留意し、民間療法のクリニックを選ぶといい気がします。
日本語でオンライン診療してくれる医療機関

このご時世、オンラインで処方箋を出してくれる施設は多数存在。とりわけ日本人愛煙家の間でバズっているのが、東京発のCBDブランドがランシット大学の協力を得て開業したGreeus Medical Cannabis Clinic Bangkok(グリース・メディカル・カンナビス・クリニック・バンコク)です。
私の知人2名もGreeusで診断書を出してもらっていました。費用は400THBだったか、500THBだったか(※曖昧でゴメンナサイ)。手順は以下の4ステップです。
①LINEの予約フォームで診察希望のメッセージを送る
②診察の希望日時を伝え、ヒアリングシートを送る
③ビデオ通話参加リンクを受け取り、指定した日時で診察をしてもらう
④診察終了後、データで診断書が届く
②のヒアリングシートの項目は、名前、年齢、パスポート番号、メールアドレス、病名と症状(※服用している薬がある方はそれも記入)といった簡易的なもの。③の診察時間は10分程度だったと聞いています。
A氏はうつ症状を、B氏は不眠の悩みを相談。日本の病院にはかかっておらず、市販のCBDを服用している旨を先方のお医者さんに伝えたみたいです(※日頃から通院し、処方薬を飲んでいる方は、お薬手帳や領収書を用意しておけば、よりスムースだと思います)。
オンラインで完結し、日本語可、なおかつ、バンコク入りする前に診断書を用意できる心強さを、A氏もB氏も絶賛していました。
【公式LINE】https://line.me/R/ti/p/@061eaxwi?oat_content=url&ts=05201433
ルールは浸透しているの?
さて、ここで気になるのが、実際の現場はどうなっているかということ。過去数年の経緯を踏まえ、巷のディスペンサリーが新ルールを厳守しているとは到底思えません。おそらく皆さんもそこを一番に知りたいのではないでしょうか。
結論を言うと、現時点で診断書とIDチェックを行っているショップは肌感覚で5%以下。いままでとほぼ変わらず自由に売買されています。購入制限も守られていません。目の前で爆買いしているヘビースモーカーがいました。
まあ、そうなりますよね。収穫量や販売量を国や省庁が把握できるとは考え難く(※いまのシステムではたぶん無理)、立ち入り検査で引っ掛かってしまった場合を除き、いくらでもごまかせそう。

とはいえ、ルールはルールです。私自身は嗜みませんし、日本が非合法である以上、日本国籍の方の喫煙は断じて推奨しませんが(※日本人が娯楽目的で大麻を喫煙するのは、たとえ日本国外であっても禁止されています)、それでも吸いたい方には、せめてその国の決まり事くらい守っていただきたいところ。
知人の話を聞く限り、診断書はそれほど手間をかけずとも下りる仕組みになっているので、マリファナ目当てで渡タイされる方は、現段階でルールを無視しているディスペンサリーが多かろうが、ぜひ用意してください。
ディスペンサリーの現状

ディスペンサリーの数自体は目に見えて激減。今月半ばには、すでにタイ全土で1000軒以上の店が営業停止や廃業に至っているとの報道もありました。
世界初の大麻専門複合施設として話題を集めたカオサンのPlantopia(プラントピア)すら、8月上旬時点でわずか3~4店舗しか営業しておらず、いつ閉鎖してもおかしくない状態に……。
また、どこのディスペンサリーも商品のラインナップが少なくなり、店じまいを始めるショップもチラホラ。大麻バブルは完全に弾けてしまったと言えるでしょう。
そんななか、日本人の顧客も多いChoo Choo Hemp(チュー・チュー・ヘンプ)では、今後のさらなる法規制に備え、医師や専門家を常駐させ、より安全かつ合法的にバッズを処方する準備を進めていると、スタッフさんが教えてくれました。
今後の見通し
最後に、今後の見通しにも触れておきます。保健省は大麻をふたたび麻薬へ分類する方針を固め、少なくとも2年かけて大麻規制法を成立させていくとアナウンス。
現行ルールは、あくまでも保健省の省令に過ぎません。でも、このままタイ貢献党主導の政権が続けば、タイは大麻非合法国に戻る確率が非常に高いです。
こういう方針にシフトチェンジした背景には大麻の密輸が大きく影響。諸外国から懸念の声が上がっているんですって。日本の空港でもたまに捕まっていますよね。確かに、これはよろしくない。

一方で、このたびのルール改正が、カンボジアとの国境紛争の対応を巡って連立政権を抜けたタイ誇り党への報復ではないかとも指摘されています。
大麻の解禁はタイ誇り党の肝煎り政策でした。タイミングからして報復措置と見なすのは、けっこう自然な流れです。
当記事を投稿する2日前の8月29日にペートンターン首相が失職し、内閣も総辞職。この混乱に乗じて仮にタイ誇り党が勢力を盛り返した暁には、マリファナ再規制がナシになる気もします(※タイの政治が大荒れすぎて、何とも予想しづらいですけどね)。
【追記】2025年9月5日、タイ誇り党の党首であるアヌティン・チャーンウィーラクーン氏が第32代首相に選出されました。アヌティン氏は2022年にタイで大麻を合法化した立役者。ちょっと流れが変わるかもしれません。
そもそも2022年の解禁当時から娯楽用を禁じていたにもかかわらず、長らくそれを放置していたのは、コロナ渦で落ち込んだ経済を立て直すためでもありました。
海外企業もバンバン誘致し、放置どころか、むしろ国や自治体を挙げて大麻産業を盛り上げていたんです。
それなのに、今度は政敵をギャフンと言わせようと手のひらを返して大麻を排除するのは、ちょっと虫が良すぎるのでは?

この規制で1万2000店のディスペンサリーが倒産すると試算している団体がいました。グロワーさんまで合わせたら、物凄い数の人が失業します。先述した通り、すでに失業者が出はじめています。
万が一、国内の政争が原因で何万人もの失業者を生んでしまったとなると、とんでもない話。間違いなく治安も悪化すると思います。
私はマリファナ擁護派でも反対派でもありません。しかし、タイの大麻問題にめちゃくちゃ関心を寄せています。
非合法化するにしたって企業や労働者に対して国がどう落とし前をつけるのか、しかと見守っていく所存。新たな動きがあり次第、また当ブログでレポートします。
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