タイの寺院は細かくランク付けされていて、バンコク都内にある約450の寺院のなかで最高位の第一級王室寺院に輝くのは現時点でたった10か所。
今回ご紹介するWat Phra Sri Mahathat(ワット・プラシーマハタート/วัดพระศรีมหาธาตุวรมหาวิหาร)は、その10か所のうちの貴重な1つです。
アクセス方法
最寄りはBTSのスクンビット線とモノレールのピンクラインが接続するワット・プラシーマハタート駅。お寺の名前がそのまま駅名になっています。
駅からの順路はめちゃくちゃ簡単。BTSの1番出口を降り、パホンヨーティン通り沿いを100~150m直進するのみです。
寺院の歴史

Wat Phra Sri Mahathatの歴史は王党派が起こしたボウォラデットの反乱に始まります。クーデターを鎮圧した政府が、勝利を記念して1941年に寺院の建立を指示。
ボウォラデットの反乱の10周年にあたる1942年6月に竣工し、同年には第一級王室寺院に選ばれています。
このWat Phra Sri Mahathatはタイが民主主義を導入した後に初めて国家主導で建てられた寺院であり、タイ民主主義の象徴と言っても差し支えないでしょう。
Wat Phra Sri Mahathatでやるべきこと
①仏舎利に手を合わせる
Wat Phra Sri Mahathatでもっとも目を引くのは、BTSの車内からもバッチリ確認できる真っ白い仏塔です。仏塔の内部にはさらにもう1基の仏塔が存在。
その黄金色をした内側の仏塔に納められているのは、パキスタンのダルマラージカで発見された仏舎利だったり、ブッタの4大聖地の1つであるマハーボディ寺院の菩提樹の枝や土壌サンプルだったり……。

これらは1940年代初頭にイギリス領インドへ派遣された法務大臣が受け取ったもので、時の政府はすべてWat Phra Sri Mahathatに祀ることを決定。分散していろいろな寺に奉納してもよさそうなところを、1か所に集中させてしまう豪華さたるや。
言い忘れましたが、Wat Phra Sri Mahathatは直訳すると聖なる仏舎利の寺院の意味。ここを訪れたからには仏舎利の参拝をスルーするなんてあり得ません。
②ご長寿ネコを探す

①の仏塔の周りには10匹前後のネコちゃんが暮らしています。餌やりをしていた笑顔のチャーミングな尼僧が話を聞かせてくれました。
曰く、Wat Phra Sri Mahathatにいる最高齢のネコは15歳だとか(※写真下手前)。タイの家猫の平均寿命は約6年(※ダニやノミを駆除する習慣が浸透しておらず、家猫でも日本で飼われているネコに比べて寿命は短め)、野良猫は3~5年程度と何かの記事で読んだので、驚異的なご長寿ネコちゃんです。

一部のローカルは「これだけ長生きするのはきっとWat Phra Sri Mahathatのご利益に違いない」と信じ、「このネコちゃんに会えた日はラッキー」みたいな感じで愛でているようです。
人懐っこい性格ではなく、全然触らせてくれなかったのに、その場を去ろうと立ち上がったタイミングに軽くすり寄られ、一瞬で私はハートを掴まれました。で、まんまと餌代用の募金箱にお金を投じた次第です。
③のんびりする

格調の高い第一級王室寺院で、歴史的にも意義深く、駅近の好立地、なおかつ拝観無料にもかかわらず、Wat Phra Sri Mahathatには観光客がほとんどいません。
おそらくその際たる理由はバンコク中心部から若干離れているせい。サイアム駅から16駅目、時間にして約35分かかります。
しかし、観光客が少なく、都心から少し離れているがゆえののんびりとした空気感もWat Phra Sri Mahathatの大きな魅力。

参道の両側には広い池があり、ほとりでお昼寝をしている人やおしゃべりしている人、魚や鳩に餌をあげて徳を積んでいる人など、各々が思い思いの時間を過ごしていました。
また、敷地内には結婚式場や葬儀場も併設していて、運が良ければタイの冠婚葬祭の様子を見られるかもしれません。
最後に

BTSがWat Phra Sri Mahathatまで延伸されたのは2020年。それ以前はタクシーか路線バスでしかツーリストはアクセスできませんでした。
現在進行形でどんどん交通網が発達しているバンコク。その恩恵にあずかって、皆さんもWat Phra Sri Mahathatへ足を運んでみてはいかがでしょうか。
外国人知名度の高い第一級王室寺院のWat Pho(ワット・ポー/วัดโพธิ์)やWat Arun(ワット・アルン/วัดอรุณ)、Wat Phra Kaew(ワット・プラケオ/วัดพระแก้ว)とはひと味もふた味も違う素晴らしさがあり、とりわけバンコク・リピーターの方にオススメですよ。
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