タイのイサーン地方には生肉を食べる風習があり、首都バンコクでも生肉料理を提供している店がチラホラ存在。タイ語でゴイと付くメニューはだいたい生肉です。
日本では2015年の食品衛生法改正により、滅多に拝めなくなってしまった生肉料理。わざわざこれ目当てでタイに来る日本人観光客も一定数いるんですって。
私とツレはゴイ目的で渡タイするほど熱心な愛好家じゃないものの、人並み程度にはイケる口。そこで今回は私たちの生肉実食レポートをお届けします。
これは食べても大丈夫なのか?
訪れたのは以前にこのページで取り上げている日本人にも人気のイサーン料理店、Isan Rom Yen(イサーン・ロムイェン/อีสานร่มเย็น)。
最寄りはBTSのヴィクトリー・モニュメント駅で、センチュリー・プラザの裏隣(※センチュリー・プラザ駐車場の出入口前)に建っています。写真下は日中の様子。私とツレは夜に行きましたが(※夜の外観写真は撮り忘れました)、昼飲みも可能です。
もともとはムーカタを食べるつもりでヴィクトリー・モニュメントをブラブラするも、目星をつけていた店が運悪く定休日。ならば、チムチュムで手を打とうとIsan Rom Yenへ向かいました(※Isan Rom Yenは牛肉を使ったチムチュムに定評があります)。
しかし、メニューに載っていたRaw Beef With Spicy Bitter Sauceの文字に目が留まり、あっさり作戦変更。さっそく注文すると、「生だよ、火は通っていないよ」と店員さんが2度も確認してくるじゃないですか。
テーブルに運ばれてきたのがこちら。赤身とレバーとセンマイの盛り合わせです。センマイは臭みが強烈で早々にギヴアップ。
冷えているうちはまだ平気だった赤身とレバーとも、常温に近づくにつれて臭いが引き立ちはじめ、レバーに至ってはヤバそうなネチョネチョ感まで出てきたので、申し訳ない気持ちを抱きながら2~3割残しました。
つけダレは一般的なナムチムジェウよりも苦味が強く、これはこれで癖になる味。肉のワイルド臭もだいぶ緩和してくれて、半分以上食べられたのはこのタレのおかげだと思っています。
生肉以外は美味しいです
なお、生肉以外はすべて美味。店の名誉のために書き加えておきます。カニのカオパッド(※画像上)は120THB。ほぐし身がガッツリ入っていました。写真では全然伝わらないのが悔しすぎる。
最近、ツレがよくオーダーしているスキヤキ(※画像下)は、シーフードがゴロゴロ入って90THB。このスキヤキ、私はイマイチ何なのか把握できていません。
タイスキを1人用にアレンジした具だくさんのスープかと思いきや、店によっては汁なしヴァージョンも存在。
「日本のすき焼きから着想を得たタイスキを、さらに華系タイ人がアレンジした料理」と定義している英語サイトもあって、もはや理解するのを諦めました。
大概は野菜と春雨と肉か魚介が入ったシロモノで、辛さはほぼナシ。辛味にそれほど強くないツレが、タイでこれを食べたがるも納得です。その他、70THBのコーンのソムタム(※画像下)と、ビール2本と氷を頼んで合計590THBでした。
しばらく経って……
さて、食事を終えて数時間後に腹具合の雲行きが怪しくなってきました(※汚い話でごめんなさい)。心なしか胃もむかむか。
「これは危険信号かも」とビビった私たちは、日本から持参した緑茶を濃いめに淹れてガブ飲み。茶カテキンの食中毒菌に対する解毒作用を期待しての行動です。念押しで胃薬も服用しました。
カテキンと胃薬が効いたのか、幸い翌朝にはすっかり回復。ちなみに、私はタイで食あたりになったためしがありません。決して胃腸が強いわけじゃなく、同じ東南アジアでもカンボジア、ラオス、インドネシアでは普通にお腹を壊します。
一方、タイは氷ですら余裕でOK。「穴の開いた円柱型の氷は問題ない」と言われていたのも今は昔、穴あき氷じゃなくても大丈夫だと身をもって実証済みです(※心配な方は氷を避けてくださいね)。
タイは東南アジアでダントツ食の安全性が高い国――そう信じて疑わなかった最中に起こった、このたびの食あたり未遂事件。完全に油断していました。
今回の貴重な経験を踏まえ、タイで生肉が食べたくなった際は、プラカノンのLarb Lab Lab Pridi 43(ラープ・ラップ・ラップ・プレディ43/ลาบ ลับ ลับ ปรีดี 43)や、サムヤーンのSane Larb Koi(サネー・ラープ・ゴイ/เสน่ห์ลาบก้อย)みたいに、それを看板メニューに据えている食堂へ行こうと心に誓った次第。
Isan Rom Yenは良い店です。ただし、生肉のオーダーが滅多に入らないのを店員さんの反応から察するべきでした。
よくよく考えると、緑茶程度で生肉の食中毒が解消されるなんてあり得ません。おそらくIsan Rom Yenで出てきた肉は、生で食べられるギリギリの鮮度だったのでしょう……と書いたところで何のフォローにもなっていないか。
皆さんもタイで生肉を食べる時は十分にご注意を。少しでも異変を感じたら、私たちのように無理して食べ進めず、もったいなくてもその場でストップしてくださいね(※ページの締め括りが物凄く当たり前の内容すぎて自分でも呆れています)。
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