FAR-OUT ~日本脱出できるかな?~

旅のこととか、旅に関する本のこととか。

小林聡美『アロハ魂』|読書旅vol.55

GWも終わり、そろそろ夏休みの計画を立てはじめる時期でしょうか。先月アップした『週末台北のち台湾一周、ときどき小籠包』についての記事内で、〈日本旅行業協会が年に3回発表する人気旅行先ランキングを遡って見てみたところ、コロナ前の数年間はハワイ台湾が1位を競い合っていた〉と書いたものの、夏に限定するとハワイは2015~2019年の5年間のうち4回1位を獲っていました。強い!

渡航制限が緩和され、〈今年の夏はハワイに行こうかな〉と考えている方もきっと少なくないはず。そんなわけで、今回はハワイを舞台にした『アロハ魂』(2009年/幻冬舎)を紹介したいと思います。

 

小林聡美×ハワイ!?

本著を書かれたのは女優の小林聡美さん。私の中でどうしても彼女とハワイが結びつかず、意外な取り合わせに惹かれて手に取ってみました。

ハワイ好きな日本人を著名人に当てはめて大雑把にイメージ分けすると、ひと昔前であればアラモアナでハイブランドを買い漁る神田うのさん系か、ビッグウェイヴに魅せられた真木蔵人さん系。

はたまた梨花さんや吉川ひなのさんを代表とするスピリチュアル・ビューティーか、三村マサカズさんやヒロミさんのような家族でワイワイ系みたいな? ちなみに、ハワイを故郷とするキャシー中島さんやKONISHIKIさんは一旦除外しました。

で、小林聡美さんはどのタイプにも該当しないというか、満面の笑みを浮かべて元気に〈アロ~ハ!〉なんて言うキャラじゃないというか。伝わりますかね?

実際、「ここ数年、海外旅行はわざわざハワイを避けてきた」「〈お手軽な外国〉と偏見を持っていた」とエピローグに書かれている通り、以前はさほどハワイに興味を持っていなかったご様子です。しかし、思い付きで再訪した結果……。

「アタシってハワイのこと、全然知らなかったのねぇ……」と改めて思い知らされ、「でも、知らないってすごい! 知らないって最高! ツイてるっ!」と毎日のさりげない発見と驚きで、自分の無知さに感謝すらする日々でした。

本当に素晴らしいです。例えば、特定のアイドルにある日突然ハマって、現場でやけに得意げな古参ファンと遭遇した時に、「あ~、私ももっと早く出会いたかった」と思いがちじゃないですか。

とはいえ、仮に練習生時代デビュー当時に知る機会を得たとしても、自分の心に刺さるとは限りませんよね。何事も重要なのはタイミング。推しに一目惚れしたのも、小林聡美さんがハワイに感動したのも、その瞬間だったからだと思います。

だから私も〈いまさら知った自分〉を悔しがるより、〈ツイてるっ!〉と思えるマインドを見習いたいです……って何の話?

 

旅のスタイルを変えてみよう

話題を『アロハ魂』に戻しましょう。馴染みの担当編集者さん他、女性5人ワイ島に降り立った御一行。旅の前半は一大リゾート地のコナ地区ではなく、日系人が多く住むヒロ地区での滞在です。

ここを拠点に、フラの名手ナニ・リム・ヤップさんから直接ダンスの手ほどきを受けたり、日系3世が興した人気の大福店ファーマーズ・マーケットを物色したり、ワイピオ渓谷で野生の馬に遭遇したのをきっかけにホース・トレッキングを行ったり、キラウエア火山に登ったりと、かなりめまぐるしいスケジュールでハワイ島を満喫していきます。

旅の終盤ではコナへ移動して高級ホテルに滞在。アメニティーがすべてロクシタンだったと書いてあるので、フォーシーズンズかな?

日中はプライベート・ビーチ沿いの貸し切りテントでロミロミを初体験し、夜は海風に当たりながら洒落たディナーに舌鼓を打ち、食後は部屋に戻って温かいお風呂に首まで浸かる。アクティヴなヒロ地区でのステイとは打って変わって、こちらではグッと優雅な時間を過ごしていきます。

なんという贅沢だろう。それは、この同じ瞬間に流れている、ヒロの素朴な時間を知っているからこそ、なおさら染みる贅沢なのであった。

かつて著者がハワイを訪れた際は、いずれもほぼほぼホテルから出ず、そこだけで完結させていたとか。もちろん、ラグジュアリーなホテルでのんびり過ごすのも、ハワイの1つの楽しみ方です。

だけど、従来とは異なるこの土地の魅力に触れたことで、自分の中で固定化してしまった旅のスタイルも新鮮に映ったのかもしれません。私もたまには意識的に旅のやり方を変えてみようかなと、本著を読んで思いました。

 

私もリベンジしなくては!

さて、私にとって人生初の海外は、兄と母、そして母の友達家族と行ったハワイでした(旅行好きの父がなぜ日本で留守番するハメになったのかは不明)。以降も高校の卒業旅行やら友人の結婚式やら何やらで、ハワイには何度か訪れています。

ただ、自分から進んで旅行先をハワイに決めたためしは一度もありません。行けば楽しいとわかっていても、そこまでハマれていないのが本音。おそらく物価の高さも影響していると思われます。

もっとも、私の知っているハワイはハワイの中でもほんの一部にしか過ぎず、こんな状態で〈自分はハワイに合っていない〉と決めつけるのはいかがなものか。

日本人が愛してやまないハワイ。私もこの島々に沼落ちする可能性は十二分にあると、前々からうっすら感じていました。

余談ですが、コロナが流行し、アメリカ本土からの旅行先として、ハワイの人気が上昇しているというニュースを見ました。その映像の中で、本土の人が「ハワイにはオリエンタルな魅力がある」と言っていたんです。

そうか、本土から眺めるハワイはアジアっぽいのか。初めてハワイへ行った時に、食べ物/飲み物のサイズ感や、街全体の色味を見て、私は〈これぞアメリカだ!〉と驚いたのに……。角度を変えると、捉え方はガラリと変わるんですね。

私はツイてます。だって、多くの人を虜にしてきたハワイの真の魅力を、まだ知らないのですから。知らないということは、それを知るチャンスが残っているってこと。リベンジしたいな~、ハワイ。

※記事内の画像はフリー素材を使用しています。本著とは直接関係ありません。

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