FAR-OUT ~日本脱出できるかな?~

旅のこととか、旅に関する本のこととか。

吉田友和『週末台北のち台湾一周、ときどき小籠包』|読書旅vol.50

東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県に続き、2年前の2020年4月16日に1回目の緊急事態宣言が全国で発令されました。

コロナウイルスなんてすぐに落ち着くだろうと思っていたのに、あれからもう2年ですって。パスポートのスタンプは2020年3月を最後に1個も増えていません。ちょっと不思議な感じがします。

この間にいろいろな生活の変化が起こりました。愚痴を言い出したらキリがないですが、おうち時間を充実させようとあれこれ工夫しはじめたこと自体は、わりとポジティヴに受け止めています。

 

台湾茶でストレス緩和

その工夫の1つがお茶です。外出機会が激減してアルコールをほとんど飲まなくなり、それに代わってお茶が大きな楽しみになりました。

〈今日は何を飲もうかな?〉と考える時間は、私にとって至福のひととき。いま過去最高に自宅のお茶ラインナップが充実しています。

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ちなみに煎れ方茶器へのこだわりは一切なく、でっかいマグカップにドボドボ注ぐスタイル。Tパックも積極的に活用し、情緒の欠片もありません。味の違いだってわかっちゃいません。意識低い系のお茶好きですので悪しからず。

ただし、唯一のこだわりが中国茶の産地を台湾にしている点。日本茶系、紅茶系、中国茶系、その他アジア茶系とざっくり分かれているお茶コーナーの中で、ここは少々気合いを入れています。もはや中国茶ではなく台湾茶と呼ぶべきでしょうか。

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けっこう前からプーアル茶は台湾産と決めていていたのに加え、昨今の中台関係悪化を受け、ジャスミン烏龍茶も台湾縛りに切り替えました。

中国の王毅外相プーチンウクライナ侵攻に対して〈台湾問題は完全なる中国内政で、ウクライナの問題とは本質的に異なる〉と発言した時には、〈このオッサン何言ってるの?〉と呆れたものです。

もともと台湾茶を買うのは、私なりに台湾を応援するのが目的でした。でも気付けば台湾茶に私が助けられ、コロナ禍のストレス緩和に役立ってもらっています。

 

1周に取り憑かれた男?

そんなわけで、今回は外出自粛生活の中で大変お世話になっている台湾を舞台にした本を選びました(前置きが長すぎる!)。読書旅と銘打った投稿はこれが50回目。意外にも台湾絡みの旅エッセイは初めてです。

週末台北のち台湾一周、ときどき小籠包』(2015年/幻冬舎文庫)の著者である吉田友和さんは、『世界一周デート』でブレイクした旅行作家。ご夫婦での共著も別の機会に取り上げるとして、この台湾旅は奥様不在で決行されました。

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世界1周3度も経験済みの吉田さん。たぶん何かを1周する行為に人一倍強いロマンを抱いている方なのでしょう。それまでたびたび訪れていた台北2泊3日旅では飽き足らず、10日間の日数で台湾をぐるりと1周するプランを閃きます。

基本は1都市1泊台北→台中→台南→高雄→台東→花蓮台北馬祖島台北を巡る旅程はかなりめまぐるしい感じもしつつ、過去にLCCを使って10日で世界1周を成し遂げている吉田さんには朝メシ前?

 

台湾B級グルメ

メシと言えば、この著者はそうとうな食いしん坊です。名所観光はほどほどに、とにかく食べて、食べて、食べまくります。

台湾旅の原風景として真っ先に思い浮かぶのは夜市だとし、まだ日本を引きずった旅の初日に夜市で臭豆腐の匂いを嗅ぐと、旅モードへスイッチが切り替わるとか。

台湾の人はキホン、食いしん坊である。誠に失礼ながら、僕にはそうとしか思えない。終始何かを食べているイメージ。食べることに関しては、清々しいまでに貪欲な印象を受ける。

本書の序章にこう記されている吉田さんも、誠に失礼ながら、台湾人に負けず劣らず清々しいまでに貪欲な食い意地をお持ちの方だとお見受けしました。

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美食の街・台南では、ちまきの老舗〈再發號肉粽〉と担仔麺の名店〈度小月〉をハシゴし、翌日の朝食は棺材板の発祥とされる〈赤嵌點心店〉に狙いを定めてオープン前から食堂の周辺でスタンバイ。

その足で繁華街から少し離れた〈周氏蝦捲〉に蝦捲を求めて直行したかと思えば、コンビニにも販路を拡大しているプリンの専門店〈依蕾特〉の本店をたまたま見つけて迷わず入店。オーソドックスなカスタード味に心を奪われ、間髪入れずにマンゴー味も試されています。

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何が素晴らしいって、知る人ぞ知る裏名店みたいなものにはこだわらず、旅番組でもお馴染みのベタな人気店をガツガツ攻めるミーハー精神。

この衒いのなさは本当に好感が持てますし、何より自分がその土地を訪れた時の姿がイメージしやすく、とても参考になります。

 

誠実で優しい台湾人

読んでいるそばからお腹が空いてくるグルメ話はさておき、台湾の皆さんの人の良さが伝わるエピソードに心を掴まれました。台湾が掴みに掛かってくるのは胃袋だけじゃありません。

間違って多めに代金を支払った著者に対して屋台のおばちゃんがきちんと返してくれたり、居合わせた友人とお釣りを分けやすいよう小籠包屋の店員さんがいくらかオマケしてくれたり、立ち止まるや否や道に迷ったのかと心配してすぐに通りすがりのお姐さんが声を掛けてくれたり……。

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よそのアジアの国だと、なかなかこうはいきません。私自身、台湾の両替所屋台では嫌な思いをした経験がなく、バス乗り場トイレにしたってきちんと列を作って並ぶ光景に何度もカルチャーショックを受けてきました。

東日本大震災の際に、世界中から多額の義捐金が寄せられたが、中でも台湾がもっとも額が多かった事実は忘れてはならない。その総額はなんと二百億縁を超えるというから、日本人としては頭が下がる思いだ。

台湾をよく知らない人からしたら「なんでそんなに?」と疑問を抱くかもしれないが、この国を旅するとなんとなく腑に落ちる。ただ単に親日的という言葉だけでは片付けられない。台湾の人たちには善意の心が満ちているのだ。旅していて感じる抜群の居心地の良さの秘密も、きっとその辺りにあるのだろう。

200億円ってとんでもない額です。そして、寄付金のみならず、台湾の人たちが被災地に赴き、数多くの支援活動を行っていた事実も併せて追記しておきます。

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台湾でウクライナ侵攻の抗議デモが急拡大した背景には、ネットのニュース記事などによく書かれている通り、もちろん彼らが自分事としてこの非常事態を受け止めていた部分もあるでしょうけど、それ以上に困っている人を放っておけない国民性が大いに関係している気がしてなりません。

交通カードの残金がマイナスなのに、とりあえず改札を通してくれちゃうシステムも、台湾人が持つ善意の心によるものなのかも。急いで電車に乗りたい時に、これはありがたい。よくよく考えると凄いことですよね。

 

台湾に行きたい!

知れば知るほど大好きになる台湾。実際、日本には台湾好きがめちゃくちゃ多いです。日本旅行業協会が年に3回発表する人気旅行先ランキングを遡って見てみたところ、コロナ前の数年間は日韓の政治的な問題も少なからず影響してか、ハワイ台湾が1位を競い合っていました。

『週末台北のち台湾一周、ときどき小籠包』を再読したばかりのいま現在、私は台湾に行きたくて、行きたくて仕方ありません。

オンライン台湾茶を買うんじゃなく、そろそろ現地で試飲しながら購入したい。ついでに、台中市近郊の茶畑を訪ねてみるのもおもしろそう。

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友達の中に〈次の訪台ではもっと地元の言葉をしゃべれるようになりたいから〉と、日々台湾語を勉強しては、その過程をInstagramにアップしている子がいます。偉すぎる。

そうした日本にいるたくさんの台湾フリークな皆さんが、1日も早く現地へ遊びに行ける日が来ることを願って、景気付けに今宵のお茶はお気に入りの凍頂烏龍茶(ちょっと高め)に決めました。

※記事内の画像はフリー素材を使用しています。本著とは直接関係ありません。

www.gentosha.co.jp

 

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