FAR-OUT ~日本脱出できるかな?~

現在は旅の記事をお休みし、旅関連の本を紹介する読書ブログに切り替えています。

川内有緒『パリでメシを食う。』|読書旅vol.48

今週多くの学校で入学式が行われ、それに先駆けて4月1日にはトヨタパナソニック、ローソンといった大手企業の入社式の様子もニュースで流れていました。新入生新社会人やそのご家族の皆様、本当におめでとうございます。

新入生や新社会人でなくとも、学生さんにはクラス替えがあったり、会社員さんの中には異動組織再編があったりと、春は1年でもっとも環境の変化が起こりやすい時期。少しの不安と、それを上回る期待で心をざわつかせている方も多いのではないでしょうか。

今回はそんな季節にピッタリの書籍、川内有緒さんの処女作『パリでメシを食う。』(2010年/幻冬舎)を選んでみました。

f:id:emi13_farout:20220401144019j:plain

ちなみに、コツコツ貯めた海外移住の軍資金を切り崩さないよう、適度に在宅ワークを行いながら、毎日をやりすごしているコロナ禍の私。そこに重度の花粉症が重なって、最近は自宅に引きこもり、気分まで内向きの状態です。

なので、この記事は自分の気持ちを掻き立てるために書いているフシがあります。現在の私と似た心境の方、つまりは春なのに気分がアガらない方にも目を留めていただけたら嬉しいです。

 

異国の地でメシを食う

『パリでメシを食う。』は、川内さんが日本のシンクタンクを辞め、国連職員として6年弱パリで過ごした時期に執筆された作品。

知られざる国連内部の様子は、『パリの国連で夢を食う』にてたっぷり紹介されています(※詳しくはこちらから)。

f:id:emi13_farout:20220401144533j:plain

では、こちらは美食大国フランスのグルメにまつわる話かと言うと、そうではありません。ここでの〈メシを食う〉は、生計を立てるの意味。国連在籍期間中に著者が出会った、パリでしっかりメシを食っている日本人の物語を束ねたものです。

パリ1区ルーブル美術館の並びに佇むアーティスト・スクワット〈59リヴォリ〉で才能を開花させたエツツさん、下町風情たっぷりなモンマルトルの丘と高級志向のシャンゼリゼの中間地点である17区を拠点に針灸の技術をフランス国内へ広めた岩岡博さん他、業界内では名の知れた方から、11区オペラ座近くにマンガ喫茶を開いた企業家、エッフェル塔の向かい側16区のレストランで働く女性シェフをはじめとする、普段はあまり表に出てこないであろう方まで計10組――。

f:id:emi13_farout:20220401144515j:plain

それぞれの人生模様をパリの街並みと重ねていく本書は、地下鉄の路線図なんかを照らし合わせて読み進めれば、数日間の観光ツアーではとてもじゃないけど巡り切れない、ちょっぴりディープな旅気分が味わえます。

川内さんはこの本を書き上げるまでに、そうとう長い時間を費やしたのだとか。確かに丁寧な筆致に苦労の跡が窺えますし、何より行間から溢れるパリの自由な雰囲気と、そこで奮闘する活き活きとした主人公たちの取り合わせが絶品。こういう文章は現地で暮らし、彼らと同じ空気を吸ってきた川内さんにしか書けません。

 

人生を変えるのは些細な出来事

確固たる目的があって移住した人も、ただ何となく流れ着いた人もいれば、もともと日本で実績のある人も、ゼロからこの街で出直す人もいるし、かねてより花の都パリに憧れを抱いていた人も、逆にパリ自体にはさほど興味を持っていなかった人もいて、職業年齢のみならず、それぞれのスタート地点街への愛着度合いは見事なほどバラバラ。

異国の地で自分の店を持つ、あるいはアーティスト/フォトグラファー/写真家など自由業でメシを食っていける人のほとんどが、自分なりにきちんとした大義名分を掲げ、満を持して海を渡っているのかと思っていました。

f:id:emi13_farout:20220401145108j:plain

でも、ここに登場する10人のうち、気負ってパリ入りしたのはごくわずか。好きな人を追ってきたとか、日本にいたくなかったとか、〈そんな理由なの?〉と驚かされ、同時に〈そんな理由でもいいんだ!〉と安心させられます。

もちろん、軽い気持ちで渡仏してまぐれで当てた強運者の事例を並べているのではなく、皆さん一様に挫折を経験。目の前の壁を何度も乗り越え、ようやく夢を掴んだわけで、本人が苦と思っているかどうかは別にしても、その努力は並大抵じゃありません。

何にせよ、人生を変えるきっかけはほんの些細な出来事で、己の直感を信じてまず1歩を踏み出すことが大事なんだって、改めて教わりました。

100%良い意味で特別じゃない人たちというか、どこにでもいそうな人たちのサクセス・ストーリーだからこそ、自分に置き換えて考えられる場面が多かったです。

 

でっかい夢を持とう

さて、会社勤めをしていた頃の私には、じっくり読書を楽しむ心の余裕がありませんでした。川内さんの存在を知ったのもつい最近。まず『パリの国連で夢を食う』を手に取り、『パリでメシを食う。』まで辿り着きました。完全に後追いです。

コロナウイルスの流行を受け、当初の予定は狂いに狂い、悶々とする日もあります。〈私はいま何をやっているんだろう?〉と思ったり、〈そもそも何がしたかったんだっけ?〉と思ったりして、無性に泣きたくなる夜も年に数回は訪れます。

f:id:emi13_farout:20220401145319j:plain

だけど、こうして素敵な本と出会えたのはコロナのおかげ。自分史上いちばんゆっくり家族と過ごせる時間が持てているのも、間違いなくコロナのおかげです。

これまでガムシャラに仕事してきたぶん、自分の置かれた状況を見つめ直して悶々とする夜さえも、次のステップへ進むために必要な時間なのかも。このコロナ期間に気付かされたことは本当にたくさんあります。

先にも書いた通り、『パリでメシを食う。』には、1人としてすんなり成功を手にした人が出てきません。ひたすら自分の好きなものを追求し、わりと泥臭く夢を叶えた方ばかりです。

f:id:emi13_farout:20220401145646j:plain

時代の変化に頭と心を慣らすのに必死で、未来の明るい展望を描き難いご時世ではありますが、いまは立ち止まらざるを得なかったとしても、本書に登場する10組のように、自分の夢を大事にし、スランもしっかり糧に変え、日々の努力を惜しまなければ、大概の目標は達成できるんじゃないのかな~、なんて。

“夢は夢だから叶わないって決めちゃう人っているでしょう。自分で見切りをつける。でもつけなければ、絶対叶うのにねえ”

これはエツツさんの言葉。物凄くシンプルで、物凄く力強い。まだ何も成し遂げていない人が言ったところで説得力はゼロでも、ちゃんと実現したエツツさんが言うのだから、間違いないと思います。しかもエツツさん、日本にいる時は軽い鬱状態だったんですって。

f:id:emi13_farout:20220401145755j:plain

日本では突拍子もない夢を語ると、周りからちょっと小馬鹿にされる風潮があるものの、夢はでかければでかいほど叶え甲斐があります。そして、夢に向かってがんばっている人の姿はめちゃくちゃカッコイイです。それをわかりやすく提示してくれた本書は私の新たな宝物。今後も折に触れて読み返す予感しかしません。

新生活を迎えるにあたってメラメラと燃えている方も、うまく前に進めずに自己肯定感がダダ下がり中の方も、ぜひ読んでみてください。思わず松岡修造さんばりの熱血メッセージを叫びたくなるくらい、元気希望勇気をくれる1冊ですよ。

※記事内の画像はフリー素材を使用しています。本著とは直接関係ありません。

www.gentosha.co.jp

 

【お知らせ】東南アジアで買い付けてきたアイテムをこちらで販売中。春夏は水着やリゾート服を中心に、秋冬はアクセサリーを中心にラインナップしています。通年使えるアイテムも多いので、ぜひチェックしてみてください。

f:id:emi13_farout:20220406174948j:plain

https://farout.theshop.jp/items/27041065



ランキング参加中。ぽちっとしていただけたら嬉しいです。

にほんブログ村 旅行ブログへ
にほんブログ村