コロナ以前は仕事も兼ねてたびたびバンコクに行っていた私とツレ。買い付けの時は一緒に動いているものの、そうでない時は別行動することも少なくないです。
例えば私がサイアム周辺で個人的なショッピングに勤しんでいる間、ツレはよく下町をウロウロしています。ブログを書いている私よりよっぽどツレの方がバンコクのさまざまな顔を知っている気配。
そんなツレが直近の訪タイで足繁く通っていた場所こそオンヌットなのであります。街のランドマーク的な存在であるWat Mahabut(ワット・マハーブット)については前回と前々回に取り上げていますので、今回はこのへん一帯の概要をお伝えしていきましょう。
オンヌットってどんな街?
バンコクの中心部から若干南に位置し、BTSが延線される以前はスクンビット線の終着駅でもあったオンヌット。
プラカノン運河を挿む立地条件も影響してか、都心のド真ん中とさほど距離を隔てていないにもかかわらず、良い意味でのんびりしている点がこの街の魅力です。
私が最後にオンヌットを訪れたのは、コロナウィルスが徐々にタイでも流行り始めた時期。この頃と言えば、観光地を筆頭にバンコクの各所でマスクの値段が高騰していました(写真下はヤワラーで25枚入り450THB/約1575円)。それどころか、品物を見つけるのもひと苦労。
ところが、オンヌットでは駅前のセブンイレブンで良心価格の布マスクをゲットできましたし、品薄だった除菌ジェルにしたって個数制限こそあれど普通にWatsons(ワトソンズ)で買えるじゃないですか。
こういう一例からも窺えるように、同じ沿線のアソークやサイアムとは異なるスピード感で人々の生活が回っているんですよね。
家賃についても運河の向こう側に比べると安めです。利便性抜群のエリアにつき高層マンションもドカドカ建ちつつありますが(*写真上)、目と鼻の先に年季の入った長屋が広がっていたりして(*写真下)、その様相はなかなかカオティック。
言葉を選ばずに書いてしまうと、主に外国人駐在員をメインとした高所得者層と地元の中~低所得者が混然一体になっているというか……。なおかつ現時点ではまだまだ圧倒的にローカル色が強い感じです。
「もしバンコクで暮らすならどこがいい?」と訊かれたら、私はオンヌットと答えるはず。何度か散策してみて、ガチでそう思いました。
ある日のオンヌット散策メモ
駅の1番出口を降りて、真新しい商業ビル=Century The Movie Plaza(センチュリー・ザ・ムービー・プラザ)の反対側にしばらく進むと、メイン通りのSoi 77、通称オンヌット通りが見えてきます。
そのオンヌット通りの1本手前にあるSoi77/1にはマッサージ屋がズラリ。夜には屋台もひしめくこの路地を抜けたら、大通りに面したBig C Extra(ビッグCエキストラ)がドーンと現れます。まずは腹ごしらえということで、私とツレはBig C内のフードコートに駆け込みました。
どこにでもあるフードコートなため詳細は割愛。ひとつ補足するとフードコートは駅の2/4番出口側にあるTesco Lotus(テスコ・ロータス)の方がオススメです。メニューの数もお客さんの数も清潔感も、Tescoが上回っている印象でした。
ソンテウやバイタクの乗り場があるBig Cの正面口からオンヌット通りに出て、ここからお散歩スタート。
最初にWat Mahabutを見学し、続いて駅方面へ少し引き返したSoi 3沿いのWat Tai(ワット・タイ)に足を踏み入れてみました。
多くの参拝客で賑わうWat Mahabutに対し、Wat Taiには人がいません。創建はチャクリー王朝初期の1803年。
ラーマ3世時代の建築様式を用い、とりわけホートライ(お寺の中にある図書館)は歴史的/文化的にも価値がある……と説明書きされていました。
仏典などを貯蔵したその建物が写真上です。中には入れず外観のみをパシャリ。
ホートライの横にある本堂にはたくさん仏像が並び、QR決済でもお賽銭できるようになっています。キャッシュレス時代もここまできましたか。便利さと引き換えに何となくご利益が薄れそうだなと思うのは私だけじゃないでしょう。
Wat Taiに続くSoi 3が独特の雰囲気で、お世辞にも良い環境とは言い難く、廃墟みたいな建物からいきなり人が現れたりして、ちょっとドキッとします。
写真上の左右と奥にも木造の古い家屋が所狭しと続き、洗濯物が干してある様子から人が住んでいることは明らか。小規模なスラムっぽい空気がなきにしもあらず?
加えて野良犬がめちゃくちゃ多く、私もツレも自ずと無口に。正直ここは絶対に夜通りたくない道です。
On Nut Marketで感じた庶民の底力
Wat Taiの次に立ち寄ったのはOn Nut Market(オンヌット・マーケット)。場所はBig Cの向かいにあるセブンイレブンの真裏。
周辺には完全日本スタイルのラーメン屋や定食屋があり、オンヌットに住む日本人の多さを窺い知れます。
On Nut Market自体はローカル仕様の生鮮市場。これと言って目立った特徴があるわけではありません。
しかし、すぐ近くにはTesco LotusとBig Cという超大型スーパーマーケットがデカデカと営業しているんですよ。個人商店の連なる市場なんて大手に食い潰されてしまってもおかしくないのに……。
商店街が衰退してイオンが繁盛する日本に置き換えて考えると、結構驚くべき光景かも。こういうところにタイ庶民文化の強さを感じてしまいます。
近隣のスーパーと比較して、大よそ3割前後は安価で買えるOn Nut Market。当然、営業時間の長さなどスーパーにはスーパーの良さがあり、一概にどちらが良いと決めつけるのはナンセンスです。
それでも、便利で衛生的な大型スーパーと昔ながらの市場が共存できているのは、さまざまな所得者層が暮らすオンヌットらしさと言えるのではないでしょうか。
格差社会の是非はともかく、レトロな景観を残したまま都市開発を続けているこの街は、プラカノン運河を挿んで数駅先のスクンビット地区とはやはりひと味もふた味も違うなと思った次第です。
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