成城石井などのお洒落スーパーでミャンマー・カレーのレトルトが置かれるようになったり、〈リトル・ヤンゴン〉こと高田馬場にあるミャンマー料理店の特集が雑誌で組まれたり、ブームの兆しを見せつつあるミャンマー・フード。
……と書き出してみたものの、ぶっちゃけミャンマーに行くまでは気にも留めず、何のイメージも持っていなかったのが正直なところ。旅行前にトリップ・アドバイザーを軽くチェックしてみると、「脂っこい」とか「美味しくない」みたいなレヴューが目立ち、「もたれそうだから胃薬を持参しなきゃ」とマイナスな印象を抱いていました。
が、実際に食べてみたら、意外にイケるものが多い! そんなこんなで、旅行中に食べた料理を感想も交えてザックリ紹介しますね。
鶏/海老のカレー@Palm Spring Resort, Yangon
ミャンマーに到着した初日。翌日の早朝フライトに備えて宿泊したPalm Spring Resort内のレストランで、「まずは一番ポピュラーなものを食べてみよう」とカレー(地元の言葉ではヒン)を注文しました(*Palm Spring Resort全体の感想などはこちら)。
ツーリストに伝わりやすいよう(?)便宜上どの店も「Curry」と表記されていましたが、いわゆる「カレー」な感じは希薄。野菜から出た水分と大量の油でグツグツ煮る油戻し煮という調理法で作られていて、この店では鶏よりも海老のほうが辛め。
値段は鶏が10ドル、海老が12ドルと、完全にホテル価格です。
タマネギの風味が効いていて、最初はモリモリ食べていましたが、終盤は油分との戦いでした。「美味しいけど、半分の量でいいや」的な。
メニューには「Traditional Myanmar Set」と書かれていて、サラダ(キュウリとトマトのみ)とBalachoungというものが付いていました。「Balachoungって何だ?」と思って質問してみたところ、「日本語でふりかけ」との答えが。実際に出てきたのは写真左側の肉味噌みたいなもので、他のお店でも似たような付け合わせをよく見かけました。これがご飯のお供にピッタリで、主役(カレー)の存在が霞むほど。日本でも瓶に詰めて売ってほしいです。
豚/山羊のカレー@Bago
バゴー観光の際、ガイドさんに「何が食べたい?」と訊かれ、「地元料理」と答えたら連れて行ってくれました。店の名前と場所がわからず恐縮です。昼時に行ったせいか、ローカルでほぼ満席。
ここはショーケースに並んだおかずを選んでいく形式で、少量ずついろんなものを試せるのがポイント。おかずを選んで着席したら、お茶とゴハンとスープと生野菜が置かれます(これらは無料)。
注文したものは、山羊と豚のカレーの他に、ほうれん草の炒め物ともやしの炒め物(この店のおかずは基本的に炒めるか油戻し煮)。2人で4品で5000チャット(約360円)、ヤンゴンに比べてバゴーのほうが物価は安い模様でした。
初体験の山羊肉は臭みゼロ(味付けが濃いせい?)で、牛肉と馬肉の中間みたいな感じ。量も程良く、飽きずに完食です。
Palm Spring Resortで食べたカレーよりも味は濃い目。聞くところによると、街中やホテルなど旅行者向けのレストランは食べやすいよう薄味にしがちだそう。確かにここで食べたカレーは味が濃かったです。で、脂っこいのは変わらずですが、薄味のほうが脂の感じが強まるというか、何となく地元スタイルの濃い味付けのほうが食べやすかった気も……。
そして、食後はテーブルに置かれたヤシ砂糖と渋めのお茶で締める――これがミャンマーの定番らしいです。ヤシ砂糖には胃の調子を整える作用もあるんだとか。
こういうショーケースからおかずを選ぶような定食屋は、Danuphyu Daw Saw Yee Myanmaなどヤンゴンのダウンタウンにもたくさんあったので、ぜひトライしてみてください(特に旅行者向けのカレーがNGだった方は!)
炒飯+春雨と冬瓜のスープ@Treasure Cafe & Restaurant, Nyaung-U
ミャンマー・カレーが続いていたので、バガン観光の際にランチで訪れたTreasure Cafe & Restaurantでは趣向を変え、鶏のフライド・ライス、野菜の焼きそば、空芯菜の炒め物、春雨と冬瓜のスープに。値段は2人で13000チャット(約940円)。
ガイドさんに「地元の人は普段なにを食べているのか?」と訊いたら、「朝はモヒンガー(麺料理)、昼と夜はカレー」と教えてくれ、「カレーじゃない日は?」と重ねて質問すると「フライド・ライスか焼きそば」と答えてくれたので、このラインナップにしました。スープもガイドさんのチョイスです。
味は想像通りというか、間違いない感じ。東南アジア旅行で食べ物に困ったらフライド・ライスと空芯菜です。ミャンマーのフライド・ライスは、ナシゴレンのように目玉焼きが乗っかっているのが特徴みたい。
この中で私のお気に入りは春雨と冬瓜のスープ。ほぼ具材から出る出汁と魚醤のみのシンプルな味付けで、油に疲れた胃が休まりましたよ。
串焼きBBQ@Harmony Barbecue, Nyaung-U
ヤンゴン市街の19th Street(焼鳥BBQ店が集まる一角)が「Barbecue Street」なんて呼ばれているくらいなので、これもポピュラーなミャンマー料理のひとつなんでしょう。
私もニャンウーのHarmony Barbecueで食べてみました。ホテルやゲストハウスが立ち並ぶ一角にあり、人形劇を観ながら食事できるNanda Restaurantからオールド・バガン方面へ徒歩3分前後という立地にもかかわらず、お客さんの8割はローカル。
オーダーの仕方は簡単で、ショーケースに入っている具を自分で取って店員さんに渡すだけ。味付けについて「辛くても大丈夫か?」と訊かれ、私は「大丈夫だよ」と答えました。まあ、実際に出てきたものはあんまり辛くなく、味付けはいわゆるカレー味(ミャンマー・スタイルではなく、日本のカレー粉味に近い?)がほんのり効いている程度で、ビールが進む進む!
オクラが1本150チャット(約11円)、鶏が1本700チャット(約50円)、海老が1本1500チャット(約109円)、銀杏が1本300チャット(約22円)、マッシュルームが1本600チャット(約43円)、アスパラのベーコン巻きが1本150チャット(約11円)。
メニューやショーケースに値段の表示はなく、後でレシートを見たら軒並み野菜は安め、海鮮は高めでした。
大瓶ビールは2500チャット(約180円)。Myanmar Beerは〈アジアでもっとも美味しいビール〉と言われているらしいです。余計な雑味がなく、近隣のタイやラオスやカンボジアのビールと比べると甘みは控えめな気がしました。確かに旨い。ライト・ビールじゃ物足りない方は、モルト100%のMyanmar Pmium Beerがオススメです。
で、ここの店員さんに教えてもらったのですが、Myanmar Beerの王冠の裏の白いゴム部分を爪楊枝などでグリッと外すとクジになっていて、さっそく私も運試し。1本はハズレで1本はアタリました。
茶葉入りご飯とトマト・スープ@Harmony Barbecue, Nyaung-U
続いても串焼きBBQを食べたHarmony Barbecueにて。BBQ以外のメニューも豊富なんです。旅行前の下調べ段階でラペットゥ(お茶の葉のサラダ)なる料理が気になっていて、ガイドさんも「ラペットゥは国民食。お米との相性が最高」と言ってたので、メニューの中にRice Salad With Tea Leafというものを見つけてオーダー。お値段は1000チャット(約72円)。
おそらくラペットゥとは別モノっぽいですが、ガーリック・ライスにナッツやドライ・フルーツ、そしてお茶の葉が混ざっていて、めちゃくちゃ美味。サラダって感じは薄いながら、お米をあまり食べない欧米の方なら確かにサラダ感覚で軽く食べるのかも……という一品でした。
そのRice Salad With Tea Leafと合わせて、トマト・スープも注文。別日に食べた春雨と冬瓜のスープに続き、こちらも具材+魚醤のポテンシャルをフルに引き出したシンプルな味付けです。トマトとパクチーの香りが口いっぱいに広がり、私的にはかなり好みなお味でした(パクチー嫌いは絶対に注文しちゃダメなヤツです)。
シャン・ヌードル・スープ@999, Yangon
ミャンマーの中でもシャン民族の料理は脂っこくなく、日本人の口に合うそうです。試しに、もっともポピュラーな麺料理をヤンゴン市内の13th Streetにある人気店999で食してきました。
こちらが名物のNoodle Soupです。値段は1900チャット(約137円)にサービス料が100チャット。スープは魚介ベースのあっさり味で、プラスに伝わるといいんですが、サッポロ一番塩ラーメンのちゃんとしたヴァージョン(≒化学調味料が少なめ)。麺は米粉製です。唐辛子を足すと味が激変。食べ応えもちゃんとあって、この旅で食べたものの中で一番美味しかったです。
付け合わせのピクルスのようなもの(ピリ辛)も何てことない味だけど、箸休めには最高でした。
シャン・ヌードル・スープ@Shan Yoe Yar, Yangon
999で食べたシャン・ヌードルがあまりにもツボだったので、「別の店でも食べてみたい!」となり、スーレー・スクエアの4階にあるShan Yoe Yarにも行ってみました。
999に比べると店内の雰囲気は高級感があり、日本語メニューもありました。お値段は3600チャット(約260円)。鶏か豚をチョイスします。上に炒めたお肉が乗っているせいか、999よりも脂っこくて味は濃いめ。グッとラーメン感が強まります。付け合わせの漬物(水キムチ級のさっぱり味)とよく合っていました。
この麺料理に合わせて、シャンのお茶も注文。ポッドで1000チャット(約72円)。プーアル茶的な発酵茶特有の風味もありつつ、そこにハス茶の爽やかさを混ぜたような味わいで、これも濃い味付けの麺料理と相性バッチリ。
モヒンガー@Sule Shangri-La, Yangon
もうひとつ麺料理。朝によく食べられているというモヒンガーです。旅行の最終日にこれをまだ食べていなかったことに気付き、Sule Shangri-Laの朝食ビュッフェで挑戦。おそらくツーリスト向けの味付けなんでしょう。
米粉の麺(太さや触感はほぼ日本のそうめん)に、パクチーやらタマネギやら揚げワンタンみたいなものを乗せて、魚ベースの出汁をかけ、最後にライムを絞っていただきます。
脂っこさはゼロ。好みが分かれるとしたらスープの味だと思いますが、ナンプラーが苦手な方にはキツイかな。スープの色が濁っていて、写真だと濃そうな見た目ながら、この濁りの原因はおそらくターメリック? 味そのものはとてもシンプルでした。
チキン・ビリヤニ@Rangoon Tea House
最後はオマケ的な感じです。地理的にも近いし、移民も多そうだしで、ヤンゴン市内にはインドやパキスタン料理屋がたくさんありました。本当はインド人街のレストランに入りたかったのですが、雰囲気に圧倒されていそいそと退散。
で、「地球の歩き方」にもよく載っているこのRangoon Tea Houseは紅茶がウリのカフェなんですが、ビリヤニ(インド周辺の炊き込みご飯)も有名ということで訪店してみました。
ちょうど夕食時で満席。予約していない旨を伝えると、「相席でもOKか?」と訊かれました。物凄い人気店なようです。店内は7割が欧米人で、ローカル風のカップルもいました。
しばらく待って、お目当てのチキン・ビリヤニ登場。店員さんが小麦粉でできた蓋を外して、米を混ぜるところまでしっかりやってくれます。ナッツやドライ・フルーツもたっぷり入っていて、触感が楽しい一皿。味は申し分なく、お値段は10600チャット(約766円)。ちなみに、マトンのビリヤニは15800チャット(約1142円)で、ここにサービス料がプラスされます。
物価を考えるとかなり高め。そして量が多い。もしかすると、2人で1つ頼むくらいがちょうど良かったのかもと思いました。
結論
総じてミャンマー料理(のメイン・ディッシュ)は脂ギッシュですが、地元向けの定食屋で食べると生野菜やスープが付け合わせで出てきますし、それに加えて副食としてゆで野菜も一緒に食べれば、むしろ日本食よりもたっぷり野菜が摂取できて、何なら健康的なのかも。しょーもない話でアレですが、旅行中はずっと快便でした。
いや~、これは本格的なミャンマー料理ブームが到来するかも!?
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